【企業レポート】電気のインフラを支え続け50年 配電線工事のベック、機器の導入で省人化・効率化に挑む(新潟県新発田市)
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/DSCF7821-e1739178756765.jpg)
ベックの中野学代表取締役
「災害などで電気が止まった際、復旧できると、周りで見ている地域の方々がみんな拍手してくれるんですよ。やっぱり、それを目の当たりにするとやりがいを感じますよね」。そう笑うのは、株式会社ベック(新潟県新発田市)の中野学代表取締役。同社は電柱や電線などの工事を手掛ける、いわば電気のインフラを支える企業。
あらゆる業界で人手不足が叫ばれる近年だが、同社はリクルーティングに力を入れるとともに、最新機器の導入などで業務の効率化・省人化にも挑んでいる。
目次
○新発田エリアで電気のインフラを支えて50年
○最新機器で効率化を
○配電線工事は「なくなることのない仕事」
新発田エリアで電気のインフラを支えて50年
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/DSCF7778-e1739178802171.jpg)
地域住民からかけられる感謝の言葉が励みだと、中野社長は話す
ベックは1973年10月の創業。一般家庭や事業所の電気設備工事も請け負うことはあるが、事業の約9割は地元新発田市を中心とした電線・電柱の設置といった配電線工事で、東北七県配電工事株式会社を介して東北電力ネットワークから仕事を受注している。
こうした配電線工事が必要となるのは、宅地造成などで新しく地域へ電気を引く時だけではない。古くなった電柱の交換といった定期的な設備更新や、災害や事故による緊急工事もある。特に新発田エリアでは積雪が多いため、倒木による電線の切断などに対応することもあるという。「この仕事は、電気の安定供給を支える仕事。大雪による停電の際、地域のお客様から『電気がつくありがたみが分かった』と言っていただくこともありました」と中野社長は話す。
また重要な仕事の一つが、災害時の対応だ。中越地震や中越沖地震といった県内の災害だけでなく、2011年の東日本大震災の際にも災害発生翌日には仙台へ入り、同業他社と交代で作業にあたった。電気は地中に埋まっていない分、地震時にはガスや水道と比べて復旧が早い。それゆえ迅速な対応は地域住民にとって心強い。
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/image2-e1739178836781.jpg)
工事の様子(写真提供)、配電線工事は数人で構成された班で作業にあたる
最新機器で効率化を
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/image7-e1739178863893.jpg)
ベックのモータープールに並ぶ作業車
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/image6-e1739178882437.jpg)
パーカッション掘削車を導入。作業者の負担軽減と作業効率向上を図っている
土砂を吸うためのバキュームカーに、岩盤に穴を開けるためのパーカッション掘削車……同社のモータープール(駐車場)には作業車がずらりと並ぶ。あらゆる業界で人手不足が叫ばれる昨今、業務の効率化は急務だ。ベックでも、最新機器を導入して効率化・省人化を進める。
配電会社は県内の各エリアに複数存在するが、パーカッション車両を自社で保有しているのはベック含め県内に4社程度。他社は基本的に岩盤掘削は都度専門の業者に依頼しているため、そうした業者との日程調整も必要となるが、ベックは自社で対応できるため作業効率が高い。
「電柱を立てるのも昔は手作業で、体力仕事でした。でも、もうスコップを使う時代じゃないじゃないですか。(機器の導入によって)規模にもよりますが、まる2日ぐらいは作業日数を短縮できます。作業にあたる社員の負担も少なくなり、作業が早く終わった社員は翌日の準備や、他の社員を手伝う余裕ができた」(中野社長)。
また、従来は作業の終わった社員から帰宅していたが、数年前からは毎日事務所で終礼を実施するようにして就業時間を厳格化。機器の導入と作業の平準化の合せ技で、現在は繁忙期以外にほぼ残業はないという。
配電線工事は「なくなることのない仕事」
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/DSCF7797-e1739178910869.jpg)
中野社長は「配電線工事という仕事を知ってもらいたい」と話す
とは言え、人員の確保は重要だ。中野社長は「やっぱり、こういった配電線工事という仕事がある、ということをまず知ってもらいたい」と話す。同社では地元の高校やテクノスクールなどと共に企業説明やインターンシップにも取り組み、広報と採用活動に力を入れる。
また、この業種で重要なのは入社後の教育だ。テクノスクールや工業高校などでは内線工事の授業はあっても、外線工事を学ぶ機会はなかなかない。作業車を運転するため、中型自動車免許も必要となる。そのため、新卒者も転職者も基本的には未経験者が中心。
「入社時は右も左も分からない、というのが当たり前なので、入ったあとのフォローが重要です。資格関係では、第一種電気工事士を取ることができたら15万円、といったふうに難易度に合わせて奨励金を出しています。また、講習もこちらで探して社員に提案したりもしています」(中野社長)。
近年は一般家庭のことを考え、電柱建て替えの際にも電気を止めない工法を採っているため、普段の生活で配電線工事という仕事を意識することは少なくなった。しかし、電気というインフラを維持し地域の生活基盤を保ち続けるためには、設備更新や緊急時の対応は欠かせない。中野社長は胸を張る。「電線工事はなくなるとこはない仕事」だと。
【企業情報】
![](https://www.niikei.jp/wp-content/uploads/2025/02/DSCF7774-e1739178932863.jpg)
株式会社ベック
株式会社ベック
代表取締役社長 中野 学
設立:1973年2月10日
所在地:新潟県新発田市緑町1-16-15
資本金:2,000万円
電話:0254-23-1268(代表)
webサイト:https://vec-shibata.com/