いちごカンパニーがFCを本格的に展開
いちご植物工場の開発などを手がける、いちごカンパニー(胎内市、小野貴史社長、0254・48・0015)は、いちごの自動制御生産システムのフランチャイズ(FC)展開に本格的に乗り出す。
コンビニなどの空店舗や地下駐車場といった空間さえあれば、いちご生産の経験がなくても、おいしい、いちごの生産ができるシステム。
第一弾として、関西の会社とフランチャイズ契約を締結。8月に工事をはじめ、年内中に、いちごの出荷を開始する。
また今後は、需要の見込める首都圏や関西圏を中心にフランチャイズ展開を加速していくほか、「すでに15か国から引き合いがある」(松田祐樹副社長)という海外FC展開を行っていく。
同社は、同社は小野組の小野貴史社長と松田副社長が意気投合して2013年に設立した。その後、技術者らの支援などを受けながら研究を重ね、「LEDを使った、いちごの閉鎖型植物工場」(同)を初めて実用化した。
現在、このシステムを使って、胎内市の小学校跡地で、いちご(新潟県ブランドの越後姫)を生産。そして、「とろける香りいちご」の商品名で、インターネットや、胎内市近郊の店舗で販売しているほか、県内の居酒屋チェーンなどの納入している。
だが、「当社の事業の核は、いちごを生産販売することではなく、植物工場を広めること」(松田副社長)。
この言葉のとおり、FC方式による、システムの普及をめざしてきた。そして先述のとおり、第一弾のFC契約を締結した。
システムの特徴は、IoT(モノのインターネット)を活用していること。空間内のあちらこちら設置したセンサーで、温度や湿度などを測定し、空間内の環境を(初期設定した)いちご生産に最適な状態に自動調整することができる。
また、「病害虫もこれまで発生したことがない」(同)。こうしたことから、季節や温暖地、寒冷地などに関係なく、いちごを生産できるほか、栽培経験がなくても生産できるのだ。
加えて、生産地が首都圏や関西という一大消費地である“地産地消”であるため、新鮮な状態でいちごを販売することができ、物流費もかからないのも特徴。
品種は、越後姫のみならず、すべてのものに対応。「加工用、ケーキ用、高級品などの用途に合わせ、当社で提案する」(同)そうだ。
なお、FC契約で発生する料金は、初期費用のほか、運営サポート費用(売り上げの数%)や、苗の代金など。
一方、同社では、農産物とその加工品を一カ所で生産・供給する都市型複合ビル「M.Dファーミングビル(多次元農業ビル)」構想も持っている。
ビルの上層フロアで、無農薬・完熟の品質の高い農産物を自動制御システムにより少ない人員で計画的に生産する。
そして下層フロアに、レストランやカフェ、直売所を設け、仕入れや流通コストを抑えつつ、ビル内で生産された新鮮な農作物や加工品を販売していくという。
さらには、「地域行政との連携を図り、災害時の(食料供給や避難の)拠点にしていくことも視野に入れている」(同)
※創刊準備号より転載