新潟県信用保証協会が「アトツギ支援セミナー」開催 京都の事例から学ぶベンチャー型事業承継

「アトツギ支援セミナー」を新潟県信用保証協会が開催

新潟県信用保証協会は2月14日、「アトツギ支援セミナー」を開催した。会場となった同協会本店(古町ルフル8階、新潟市中央区)には、県内の中小企業経営者や関係者など約80人が参加した。本セミナーは、事業承継の新たな形として注目される「ベンチャー型事業承継」への理解を深めることを目的とした。

県内中小企業において、後継者不在は深刻な課題となっている。従来の事業承継では、前経営者の経営方針を引き継ぐ形が一般的だったが、近年は経営資源を活用し、新たな事業を生み出す「ベンチャー型事業承継」への関心が高まっている。こうした状況を受け、新潟県信用保証協会は事業承継支援の枠組みを見直し、後継者の新たな挑戦を支える仕組みづくりに取り組む必要があると考えた。特に京都府北部では、金融機関や自治体が連携し、後継者支援の仕組みを確立している。

今回のセミナーは、こうした全国の動きに呼応し、新潟におけるアトツギ支援の可能性を探る機会として開催された。後継者支援の機運は全国的に高まっており、「アトツギ甲子園」には新潟県からも参加者を輩出するなど、県内企業の関心も高まりつつある。

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(左から)京都信用保証協会の村井章大氏、京都北都信用金庫の羽賀睦泰氏

(左から)株式会社大滝工務店の大滝雄介氏、株式会社ローカルフラッグの濱田祐太氏

本セミナーの中心となったパネルディスカッションでは、「京都府北部地域のアトツギ支援エコシステム」をテーマに据えた。登壇者は、京都信用保証協会の村井章大氏、京都北都信用金庫の羽賀睦泰氏、株式会社大滝工務店の大滝雄介氏、株式会社ローカルフラッグの濱田祐太氏の4氏。

実際に事業承継を経験した大滝氏は、家業を継ぐ際に抱えた課題を振り返り、当初は経営の再建に奔走する日々だったと語った。具体的には、地域の資源を活用した宿泊業への参入や、工務店としての強みを生かしたリノベーション事業の展開などを実施し、経営の多角化を図った。

一方、濱田氏は地域に根差した新規事業の意義について言及。同氏の会社では、地域産業と連携しながら、事業の枠を超えた新たなビジネスモデルを展開し、地域の活性化を図っている。

パネルディスカッションでは、アトツギ支援エコシステムの構築についても議論が交わされた。京都府北部では、自治体、金融機関、商工団体、保証協会が連携し、地域全体で跡継ぎ経営者の成長を支えている。特に「京都市北部アトツギベンチャーセミナー」を定期的に開催し、後継者候補が事業承継の可能性を具体的に学ぶ場を提供している。

また、「アトツギベンチャー道場」として実践的な経営スクールも運営。参加者は経営戦略や財務管理、新規事業立案の手法を学び、卒業後もメンター制度を通じて専門家からの支援を受けられる。これらの支援活動を通じて、後継者同士が互いに経営のノウハウを共有し、課題を解決するためのネットワークが形成されている。

「京都府北部地域のアトツギ支援エコシステム」をテーマにしたディスカッションの様子

村井氏は、パネルディスカッションのまとめとして、「スモールスタートでも良いので、まずは支援を始めることが大切だ。単発の取り組みではなく、長期的な視点を持ち、地域全体で後継者を支える仕組みを作っていく必要がある」と述べた。京都府北部では、年々支援機関の数が増え、跡継ぎ支援の重要性が地域に根付き始めている。新潟でも同様の取り組みを進めることで、後継者の挑戦を支え、地域経済の活性化につながる可能性があると述べ、議論を締めくくった。

新潟県信用保証協会では今後も事業承継支援の一環として、後継者の育成や経営支援に取り組んでいく方針だ。

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