【人気コラム復活】再開しました。よろしくお願いします!|益田浩(元新潟県副知事・前中国運輸局長)

はじめに

皆様、こんにちは。元新潟県副知事・前中国運輸局長の益田浩です。御無沙汰しております。連日、新潟県を含む日本海側での大雪のニュースを目にしますが、いかがお過ごしでしょうか?長岡市などの積雪や除雪の状況が繰り返し報道されており、新潟市の中心部でも一時期かなりの積雪があったようで心配です。この時期、関東地方は快晴が続くため、日本海側の天候との違いを最も感じる季節です。日々の生活への支障ができるだけ少なくなりますよう、祈っています。3月上旬、私も新潟の一大イベントが開催される期間に新潟市を訪問する予定なので、無事に上越新幹線で往復できますように。

さて、私事で恐縮ですが、昨年7月1日、国土交通省を退職し、1991年4月以降、33年強の国家公務員生活を終え、広島から東京に戻りました。後述する数か月の充電期間のあと、縁あって、昨年12月半ばから、東京の大手私鉄に顧問として再就職し、日々、本社に出勤しています。勤務地の関係から、毎朝6時過ぎには起床しており、国家公務員時代より随分早起きになりました。

にいがた経済新聞には、昨年6月まで計20回程度、月1回、投稿しており、今後も同じようなペースで考えています。当時は、新潟での思い出、タイでのインバウンド誘致活動、推し活(良い言葉です。オタというより社会的に認知されている響きがあります。)等に関する話題が多かったのですが、引き続き、主に新潟のトピックや推し活などを取り上げたいと思います。仕事柄、鉄道ネタも増えるかもしれません。急ブレーキや脱線が無いよう、気を付けますね。

 

充電期間

管理職であった国家公務員の場合、再就職活動に厳しい規制がかかり、再就職が決まるまでにしばらくの充電期間(要は無職の期間)があります。多くの国土交通省OBから、「この期間は人生において貴重であり、有意義に過ごすよう」、アドバイスをもらっていましたが、結果的に4ヶ月半となった充電期間は、振り返ってみれば、あっという間でした。海外旅行にいそしんだ先輩の話も聞いていましたが、現下の円安を考えると、早々に選択肢から消え、その代わり、これまで勤務した北海道や新潟などでお世話になりながら、国家公務員の間、忙しさにかまけて不義理を重ねていた方々に近況報告を兼ねて訪問するなど、国内旅行を中心とすることにしました。

北海道は初めての地方勤務の地です。約20年前、1年9ヶ月ほど、北海道庁で、ちほく高原鉄道の廃止、道内空港路線の再編、サハリン航路の継続問題などを担当する交通企画課長を務めました。赴任当時、また30代で、新米管理職としての心得や、一癖二癖もありつつ、実は気の良い地方議会の先生方、地元市町村長、経済界の方々との付き合い方のイロハを勉強することができました。休みには、北海道のほぼ全市町村を踏破して、各地の素晴らしい景色や美味しい食材を満喫していました。私の札幌訪問が当時の上司・同僚との懇親会開催のきっかけとなるため、これまでも概ね半年に一度、訪問しています。懇親会では、真剣に議論を重ねたちほく高原鉄道の存廃問題の振り返りも含め、いつも活発なやり取りが絶えず、とても楽しい時間を過ごしています。

新潟県では、新潟市、阿賀・村杉温泉、加茂市、燕市で、それぞれの地域の元気な方々と懇親して来ました。副知事という立場で3年間、新潟県庁に赴任したおかげで、特に新潟市からの移動距離が短い下越では、必ずしも県庁の仕事の延長線に限らず、地域起こしの活動に関わる機会があり、国家公務員の生活ではなかなか出会えない多様なバックグラウンドの方々と知り合うことができました。県庁を離れて早くも4年半となりますが、引き続き、交流が続いているのはありがたいことです。

また、昨年6月末まで勤務した広島には高齢の両親が居住しており、STU48も引き続き応援していることから、月1回~2回程度、帰省しています。東京に戻ってことでSTU48への推し活にも変化が出てきていますが、これはあらためて書いてみたいと思います。

その他、これまで訪問したことがない地域にも足を運んでみました。日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所長の頃、あたかも日本各地の観光地を全て訪問したことがあるかの如く、プロモーション活動をしていましたが、内心、「本当は、自分は実際に観ていないんだよなぁ」と、自省の念に駆られることが少なからずありましたので。

岐阜県・白川郷

鹿児島県・知覧特攻平和会館

三重県・伊勢神宮

三重県・伊勢神宮

具体的には、三重県:伊勢神宮(外宮・内宮)、おかげ横丁、愛知県:熱田神宮、ひつまぶしの蓬莱、岐阜県:飛騨高山、五箇山、白川郷、飛騨古川、愛媛県:宇和島市、香川県:金刀比羅宮、栗林公園(再訪)、鹿児島県:鹿屋航空基地史料館・知覧特攻平和会館ほか、指宿温泉(再訪)を訪れました。

特に、念願叶ってようやく訪問できた伊勢神宮は台風10号の接近中だったため、人出も少なく、厳かな雰囲気を感じることができました。ただ、台風の影響による増水のため、五十鈴川でのお清めができなかったのが残念です。また、知覧では武家屋敷や茶畑を散策し、特攻平和会館の展示内容に心を打たれました。平日にも関らず、非常に多くの来館者があり、関心の高さをうかがえました。戦争の悲惨さを現実のものとして受け止めるべく、広島市の広島平和記念資料館、山口県周南市大津島の回天記念館などとともに、日本人として訪問しておくべき場所だと思います。

訪問した地域を振り返ると、地域にかなり偏りがあり、東北地方が抜けています。岩手県平泉の中尊寺や最近、オーバーツーリズム気味の山形県・銀山温泉なども行きたかったなと思います。今後の宿題ですね。

 

再就職

退職した当初、これまでの習いで朝7時前後に目が覚めても、「仕事じゃないから、もう起きなくてもいいんだ」と二度寝できる幸せを噛み締めていました。しかしながら、もちろん退職金は受領したものの、毎月、定期的に入ってくる収入は無く、一方で、生きていく限り、確実に支出はありますので、日々、貯金を食いつぶしていくことになります(国家公務員は雇用保険に加入していないので、失業保険はもらえません、念のため。)。自分でも貧乏性だと思いますが、無職になって2ヶ月も経つと、このまま無職だったらどうしようという焦りが出てきます。同じように退職した同期の近況を探るための連絡も頻繁になってきます。毎月定期的に入ってくる給料のありがたみを実感しました。

それこそ、平成2年夏の就職活動以来の履歴書の作成や職務経歴書の記入を経験しましたが、国家公務員の特性上、2年前後で人事異動を繰り返し、広く薄く業務をしています。私が入省した国土交通省(旧運輸省)の抱える業務範囲自体、幅広いのですが、国土庁、内閣官房(2回)、独立行政法人(JNTO)、地方公共団体(2回)でも勤務しています。プラスに言えば、視野が広いと言えますが、反面、専門性が無いとも言えます。大企業の幹部の再就職活動で、「何ができるか」と聞かれて、「部長ならできます」と答えるという笑い話がありますが、実際に自分がそのような立場になると、全く笑えないなと思いました。自らの市場価値を真剣に考える貴重な機会となりました。

結果的には、国土交通省鉄道局や関東運輸局での勤務経験、北海道・ちほく高原鉄道の存廃問題、新潟県・えちごトキめき鉄道の社外取締役、JR西日本・芸備線の再構築協議会の設置などの鉄道に関わる経歴が評価されたのか、真相は分かりませんが、在京の大手私鉄に内定をいただきました。実は、学生時代や就職して若かりし頃にその沿線に住んでいたこともあるので、やはり御縁があるのだなぁと感じます。今いる場でしっかり花を咲かせ、実をつけるべく、自分がどういう付加価値を提供できるのか考えながら、日々、業務に精進していきたいと思います。こちらでも、今後、イチ鉄道マンの目線で寄稿していきますので、どうぞよろしくお願いします。

益田浩(ますだひろし)|元新潟県副知事・前中国運輸局長

昭和61年3月私立修道高等学校卒業、平成3年3月東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種(法律)合格。平成3年4月運輸省採用。平成9年7月運輸省大臣官房人事課付(英国ケンブリッジ大学留学国際関係論)、平成27年7月自動車局自動車情報課長、28年6月大臣官房参事官(税制担当)などを経て、29年7月新潟県副知事。令和2年7月内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官、令和4年6月国土交通省中国運輸局長。現在は在京の大手私鉄会社顧問。

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