カレッジサミットで最優秀賞に選ばれた新潟大学生の今井咲希さん、「売春で生活するフィリピン人の女性を救いたい」
College Summit for Peace in NIIGATA 2021(カレサミ新潟 2021)が10日、駅南キャンパスときめいと(新潟市中央区)で開催された。
カレサミ新潟 2021は、新潟においてSDGsを推進し、持続可能な街づくりに貢献する。“誰一人取り残さない”、“ずっと住みたいと思える”ような街にするために、ここで多くの学生や教授教授・有識者がSDGsに対する認識を深め、世界を変える新たな発想、力を生み出すことを目的としている。主催はCollege Summit for Peace in NIIGATA 2021実行委員会。株式会社タカヨシ、有限会社にいがた経済新聞社、有限会社ミツワ産資などが協賛した。
カレサミ新潟 2021では、SDGsに関心のある学生や社会のために熱心に活動する学生がビジョンスピーチを行った。審査の結果、最優秀賞(カレサミアワード)に選ばれたのは「新潟から世界の架け橋をつくる」のスピーチをした新潟大学経済学部2年生の今井咲希さん(19歳)。
今井さんは、高校在学中に学校内で開催されたフィリピンの現状やアジアの経済についての講演を聞いたことをきっかけに、講演を行った講師の協力のもと、フィリピンへ渡航した。
ここ数年で減少傾向にはあるが、フィリピンでは貧困層が多く大きな社会問題となっている。今井さんが現地で目の当たりにしたのは、「売春を行い生活を維持する女性たち」。貧困が根付いているフィリピンでは売春を行い生活を維持する家庭も少なくないのが現状である。
そのような女性を少しでも減らすため、今井さんは高校時代に現地のスラム街で性教育活動を行った。しかし活動を行う中で、「持続性が無い」、「社会との繋がりを持てない」、「毎日の生活に諦めという感情を持っている」、「売春以外の選択肢を知らない」というような課題が浮き彫りとなった。
そこで今井さんが考えたのは、現地の女性と「協同」で何かを作り上げること。協同で何かを作り上げることで「売春で生活する女性達のやる気ややりがいを最大化できるようなお手伝いをしたい」という思いから、今年の5月、現地で売春を行い生活する10代から20代の女性3名と共に「Maliy(マリー)」というブランドを立ち上げた。
Maliyでは、下着会社で下着の端切れを貰い、布ナプキン(生理用品)の製作・販売を行う。テストマーケティングという形でフィリピン、新潟、東京で5店舗を展開し、売り上げ額は全額、売春を行い生活するフィリピンの女性の職業訓練費用として寄付する予定。今後は新潟に古くからある企業や高い技術を持つ工場とコラボレーションをすることにより、新しい商品開発を行っていきたいという。
今井さんは、「一人一人が心に持つ小さな光のようなものを最大化するようなこと、経済や環境にとらわれず、自分主体で取捨選択できる世の中の実現を自分の中で掲げています。女性達を助けたいのはもちろん、外国人労働者にも目を向けて日本の社会問題などに取り組むようなプロジェクトを立ち上げ、そこで労働者の方達がやりがいを持ち母国に帰ってもらうような支援ができたらなと思います。そして、私自身が新潟とフィリピンを繋ぐ架け橋となり、どちらにとっても新しいきっかけに繋がっていければというのが今の目標です」と今後の展望を話していた。
【関連動画 カレサミ新潟2021】