創業58年の歴史を持つ地域の防災を支える老舗企業　株式会社大昭商事　清水社長「若い人にはもっと大きな夢を持ってほしい」

大昭商事（新潟県上越市）は、創業58年の歴史を持つ老舗企業であり、上越地域において防火・防災機器業界の有力企業の一つとして広く知られている。同地域では他の競合企業と並び切磋琢磨しながらも、互いに補完し合う関係を築いてきた。

同社の主要取引先は、新潟県庁や上越市、妙高市、糸魚川市などの官公庁であり、これに加えて上越地域消防局、糸魚川市消防本部、十日町地域消防本部、佐渡市消防本部といった消防署も大口の顧客となっている。公共事業的な側面が強いため、景気の影響を受けにくく、安定した業務基盤を持つことが同社の大きな特徴である。

さらに、信越化学工業株式会社、直江津電子工業株式会社、日本曹達株式会社、三菱ケミカル株式会社など、国内有数の大企業の工場とも取引を行っており、これも大昭商事の強みといえる。こうした大手企業は安全管理を厳格に行っており、消防・防災設備の維持管理は必須である。そのため、同社の専門知識と高品質なサービスが重宝されている。

大昭商事の営業部では、市役所や消防署を中心に営業活動を展開し、消防用品や防災用品・安全用品の販売、消防機器の修理、消防設備施工、修繕などを手掛けている。これらの事業を通じて、地域の安全・安心を支えるという極めて重要な役割を果たしており、社会貢献度の高いやりがいのある仕事といえる。

特に、消防設備の点検・メンテナンスは、防災の観点から不可欠な業務である。企業や公共施設において、万が一の火災発生時に適切に消火設備が作動するかどうかは、人命や財産の保護に直結する。こうした責任ある業務を担うことに誇りを感じる社員も多く、専門知識を活かして地域に貢献できる点が同社で働く魅力の一つとなっている。

また、上越地域は雪国であり、冬季の防災対策にも特有の課題がある。積雪による火災リスクの対策をはじめ、地震・津波といった自然災害の対応においても、同社の提供する防災用品や設備は重要な役割を果たしている。

近年、同社は長野県の企業をM＆Aし、さらに他の地域でのM＆Aを視野に入れている。公共機関との取引が多く安定した経営を維持しているが、人口減少に伴い行政予算の縮小が懸念される中、M&Aを通じた事業拡大を進めている。これは単なる企業成長戦略にとどまらず、後継者問題に直面する企業の支援という社会貢献の一環としての側面も持っている。

特に、地方の企業は後継者不足に悩んでいるケースが多い。こうした企業が廃業してしまうと、地域の防災インフラが弱体化し、安全性が損なわれる可能性がある。そのため、大昭商事はこうした企業をM＆Aすることにより、地域全体の防災体制を維持・強化することも視野に入れながら努めている。

また、M&Aにより、同社の事業領域も拡大している。例えば、新潟県内での取引先が増えることで、より広範囲な地域でのサービス提供が可能となり、地域ごとの防災ニーズに応じた柔軟な対応が可能となる。これにより、行政や企業からの信頼も一層高まり、新たなビジネスチャンスの創出にもつながっている。

大昭商事の清水信博代表取締役社長は、「若い人にはもっと大きな夢を持ってほしい。人生での大きな目標を定め、例えば企業のトップを目指す、他に負けない技術力を身に着けるなど、一見無理と思える高い目標に努力し続けてほしい。すぐに諦めるのではなく、もう少し踏ん張れば新しい世界が開けるはずだ」と語る。

現代では転職が一般化し、一つの企業に長く勤めることが少なくなっている。しかし、防災・消防の業界は専門知識が求められるため、長く続けることで確かなスキルが身につき、社会に貢献できる仕事である。清水社長の言葉は、単に企業経営の視点からではなく、人生の選択肢としての「やりがい」や「社会的意義」を重視したメッセージといえる。

消防・防災という公共性の高い事業を手掛ける大昭商事には、地元の消防団に所属する社員も多い。地域にUターンし、地元に貢献する仕事を選択することも、人生の有意義な選択肢の一つであろう。特に、都市部での生活に疑問を感じ、地方での安定した生活を求める若者にとって、大昭商事のような企業は魅力的な選択肢になりうる。

同社は長年にわたり地域の防災を支える重要な役割を果たしてきた。官公庁や大企業との安定した取引に支えられながらも、M&A戦略を通じてさらなる成長を遂げており、地域社会の安全を守るという使命感を持って事業を展開している。

また、若手社員の育成にも力を入れ、長く働くことで得られる専門知識と社会的意義を伝えている。同社の取り組みは、単なる企業経営の枠を超え、地域社会全体の安全と発展に貢献するものであり、今後もその活動が注目されるだろう。