【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 3月1日〜7日
「記者コラム」
知命堂病院初代看護婦長・大関和氏が来年の朝ドラモデルに

知命堂病院の森川政嗣理事長兼病院長
NHKはこのほど、2026年春に放送予定の連続テレビ小説「風、薫る」を発表した。2026年度前期のNHK朝ドラであり、NHK大河ドラマ「八重の桜」などを手がけた脚本家・吉澤智子氏が執筆を担当する。主人公は女優の見上愛氏が演じる。
本作は、明治時代に日本の看護師制度の礎を築いた2人の女性を描く作品である。まだ看護の概念が確立されていなかった時代に、主人公たちは傷ついた人々を救うため奔走する。激動の明治社会を舞台に、幸せを求めて生きる型破りな2人のナースの奮闘を描いた物語となる。
ヒロインの一人のモデルとなるのは、大関和(ちか)氏である。彼女は1891年に新潟県上越市に開院した「知命堂病院」の初代看護婦長を務め、日本の看護制度の確立と技能向上に尽力した。

晩年の大関和氏(知命堂病院提供)
現在、看護師は社会に欠かせない専門職であり、国家資格を必要とする職業である。しかし、かつては「金のために汚い仕事も厭わず、命まで差し出す賤業」と見なされていた。大関氏は、家老の娘という立場にありながら、この「賤業」とされた職業に就き、生涯をかけて看護の制度化と教育に努めた。
大関氏は1890年に現上越市に移住し、約5年半にわたり看護活動に従事した。1891年、第一医院での実習時に師事した知命堂病院の初代病院長・瀬尾原始医師の招聘を受け、同病院の初代看護婦長に就任した。知命堂病院は全国的にも歴史のある私立病院の一つであり、今年で創立154年を迎える。その後、大関氏は産婆看護婦養成所の教員となり、多くの看護師を育成した。
知命堂病院の森川政嗣理事長兼病院長は、「大関さんは日本の看護師の先駆けであり、最初に系統立てた看護教育を受け、さらに若い学生を育成した人物。高田出身の知命堂病院初代病院長の瀬尾原始医師が東大附属看護学校で講師をしていた時、大関さんは教え子だった。1889年に瀬尾先生は岡山の大学に教授として赴任し、大関さんは東京に残った。その後、瀬尾先生は知命堂病院を立ち上げるために高田に戻り、大関さんはキリスト教関係の高田女学校に舎監としてきていた。そして1891年に2人は、道端でばったり出会う。彼女の優秀さを知っていた瀬尾先生は、開院予定の知命堂病院の看護婦長に是非なってもらいたいと依頼した。大関さんは、もともとキリスト教に身を捧げるつもりだったが、知命堂病院の看護婦長として、また看護婦養成所の教育者として活躍した。そんな彼女の年代記が朝ドラで描かれることは関係者として大変喜ばしい」と語る。
また、NHK連続テレビ小説による全国放送の影響について、「高田の宣伝になるだけでなく、大関さんが果たした診療と教育の両面での貢献が広く知られるきっかけになる。もし彼女が高田で瀬尾先生に再会しなければ、クリスチャンとしての道を歩み、看護の発展に関わることはなかったかもしれない。その2人の関係がどのようにドラマで描かれるか楽しみだ」と期待を寄せた。
「風、薫る」は、日本の看護史において重要な役割を果たした女性たちの姿を通じて、視聴者に看護の意義と歴史を伝える作品となることが期待される。
(文・撮影 梅川康輝)
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