株式会社上川温泉(新潟県阿賀町)の破産手続開始が決定、県内24番目の新型コロナ関連倒産
株式会社東京商工リサーチ新潟支店によると、株式会社上川温泉(新潟県阿賀町、資本金1億円、田部一男社長、従業員11名)は7月12日、新潟地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人には小田将之弁護士(弁護士法人青山法律事務所、新潟市中央区)が選任された。負債総額は約6,500万円。
同社は1992年4月に上川村(現阿賀町)が90%を出資する第3セクターとして資本金5,000万円をもって設立。上川村が運営していた日帰り温泉「みかぐら荘」、「あすなろ荘」の運営を継承して事業がスタートした。
2000年には上川村山村体験交流施設「七福荘」をオープンさせ、地域観光の拠点化を進め、ピーク時となる2001年3月期には売上高2億6,683万円を計上していた。しかし、各地の温泉施設の多様化の影響を受けて利用客が減少し売上高は漸減。2018年3月期で1億4,700万円にまで減少し、さらには債務超過の状態であった。
2018年3月には資本金を1億円に増資し、同年8月に、同地区の第3セクターである奥阿賀観光株式会社を吸収合併し、経営の合理化を進めてきたが、燃料費などの原価高騰や施設老朽化に伴う投資負担もあり赤字決算が慢性化していた。これに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響から利用客はさらに減少した模様で、2020年5月31日に「あすなろ荘」を閉館。「みかぐら荘」および「七福荘」は阿賀町に返還された後、別法人にて営業が続いているが、同社としては2020年6月より休業、事業継続を断念し、今回の事態となった。
なお、新潟県内における新型コロナウイルス関連破たんは24件目となる。