【にいけい編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 3月15日~21日

記者コラム

「財務省出身政治家」で思い出した人

連日、財務省解体デモのニュースがネットメディアを賑わしている。ネットメディアに限定したのは、テレビ、新聞などの「オールドメディア」が、不思議なくらい無関心だからである。そうなると「財務省=ディープステイト」のような陰謀論めいた声に余計拍車がかかる。

それくらい、今の財務省解体デモの中身は混とんとしすぎの印象。曰く「消費税廃止」、曰く「外国人は日本から出ていけ」、曰く「ガソリン税減税のトリガー条項はどうなった」曰く「財務省は諸悪の根源」・・・

様相は江戸中期に勃発した「打ちこわし」のようだが、それだけ社会の閉塞感は増している。可処分所得は上がらない、物価、税金、社保料は上がると、今の日本経済はスタグフレーションに陥ったとの見方もある中で、財務官僚が予算編成権と徴税権を手中に国をコントロールし、一線を退いたら自分で育てた天下り先で悠々自適を謳歌する。そんな姿に、庶民は漠然とムカついているのではないか。

一方、まるで上流貴族のように庶民から思われている財務官僚の職をかなぐり捨てて、政治家に転身する人は数多い。今ぱっと頭に浮かぶのは国民民主党代表の玉木雄一郎、自民党で片山さつき、立憲民主の江田憲司など。新潟政界でもかつて大蔵大臣を務めた故村山達夫や、記憶に新しいところでは新潟1区で衆議院議員を3期務めた石崎徹などが思い浮かぶ。

財務官僚が、本当に庶民が思うような権力と高位安定した人生に恵まれるなら、なぜ彼らは「選挙で負けたらただの人」である政治家の道に進むのだろう。そこまでロマンがあるように見えないが。

記者が「財務省(大蔵省)OB政治家」と聞いて頭に浮かんだのは、かつて上越市長を2期務めた宮越馨氏だ。

宮越氏は旧大蔵省で、ノンキャリアながら予算編成の前線に立つ主計局主査の職にあった。いわゆる「ノンキャリの星」と言われた30代で財務省を退庁、当時自民党の渡辺美智雄の秘書を8年勤めた後に、中選挙区新潟4区から出馬するも3回連続落選。1993年に上越市長選に就任。2期務めるも3期目を目指す2001年の市長選で苦杯。2003年4月の新潟県議選上越市選挙区で当選し議席を得るも、翌年の新潟知事選に出馬して落選。2年後に上越市長選に出て現職の前に敗退。さらに2009年の同市長選で落選。2010年にはかつての師である渡辺美智雄の息子喜美が立ち上げたみんなの党から参議院比例全国区で出馬するが落選。この時に政界引退もささやかれたが、2020年の上越市議選に立ってトップ当選を果たす。2024年の2期目の市議選でも第2位の得票で当選。現在も齢83歳にして現職市議を務める「老いてますます盛ん」を地で行く人。本当にすさまじい政治人生だ。

記者は上越市長の頃の印象が強烈に残っている。全国の基礎自治体に先駆けて副市長制や情報公開条例の制定、環境マネジメントシステムの導入、ISO14001を全国の自治体で初導入するなどし、上越市を「行政改革度全国1位」の自治体にした。

また今の財務省が見たら腰を抜かしそうな超積極財政で、将来的な利用を前提に市内の土地をどんどん取得していった。その結果、市の負債は増大し、様々な実績を残したにもかかわらず2期という短命市政に終わった原因にもなった。

要は何を言いたいかといえば、財務省(旧大蔵省)OBにもいろんな人がいる、ということだ(とりとめもない話になって申し訳ありません)。

ただ宮越氏レベルで波乱万丈な人生を歩んでいる例は、他に聞いたことがない。もともと人として積んでいるエンジンが破格なのだろう、おそらく。

(編集部 伊藤 直樹)

今週の主なニュース

編集部ピックアップ

新潟の起業家・スタートアップへの支援を強化、Socialupsと新潟IPC財団が連携協定

【今が買い時のピーク】新潟で建売住宅の需要がますます高まる理由「圧倒的な合理性」

【あなたの名前や会社名が駅前に】上越妙高駅開業10周年記念プロジェクト「JOETSU MYOKO」モニュメントをつくろう!

経済

日本金属洋食器工業組合、ナイフの製造工程の共同受注事業を開始 カトラリーのサプライチェーンを強化(新潟県燕市)

【負債総額は約6,870万円】酒類販売の有限会社三上屋酒店(新潟県長岡市)が破産申請へ

佐渡汽船直江津港(新潟県上越市)よりジャンボタクシー運行へ 3月29日からの小木−直江津航路こがね丸運航再開に伴い

「具体的な事実はない」第四北越FG(新潟市中央区)が群馬銀行との一部報道にコメント

 

社会

「新潟県上越市の『学びの多様化学校(不登校特例校)』はどこまでも不登校児童生徒に寄り添ったものに!」竜哲樹(にいがた経済新聞社顧問)

【フードバンクへお米を1トン贈呈】新潟県主食集荷商業協同組合青年部が食糧支援を通じて地域社会へ貢献

「粟島を知って、来てもらうきっかけに」地元中学生が島産サツマイモを使ったお土産を考案 ピアBandaiで販売イベント(新潟県粟島浦村)

 

地域・くらし 

【注目の企業コラボも】古町エリアを舞台にアニメ・マンガ・サブカルの祭典「がたふぇす2025」15thが装いも新たに開催

上越妙高駅開業10周年記念イベント、「フルサット」(新潟県上越市)でフルサット市が開催

【ラスボスのキセキ】芸能生活60周年記念・小林幸子凱旋衣裳展、初日に「ご本人登場」

 

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓