【長岡発】小学生がビルの空き部屋をリノベーション!発想のおもしろさとプレゼンのクオリティに専門家も驚き

新潟大学附属長岡小学校では、文部科学省の研究指定を受け、社会の変化に柔軟に対応し、新たな価値を創造できる“イノベーション人材”の育成に向けた4年間の教育研究が本格的に始動している。2024年度からは、次世代のものづくりを担う人材育成を目指し、関連する学習内容を整理・統合した新教科「ものづくり科」を設置した。

3月14日には、その授業の一環として、5年生による空き部屋改修のアイデア発表会「リノベラボ審査会」が開催された。

「リノベラボ審査会」が、開催された新潟大学附属長岡小学校

この審査会は、長岡駅前にある空きビル「Wiseビル」の一室を題材に、児童がリノベーション案と活用方法を提案するというもの。付属長岡小と新潟工科大学、同ビルを管理する小柳建設をはじめとする地元企業連携で進めてきたプロジェクトの一環である。

これまで、5年1組・2組の児童たちは現地見学や専門家による講義を通じて、「誰のために、どのようにその空間を使うのか」を考え、実際のリノベーションに向けての構想を練ってきた。

審査会では、各クラスが3チームに分かれ、模型や図面を用いてアイデアを発表。ハンモックを設置して誰もがくつろげる空間や、お絵描きができる壁、人工芝を敷いた空間、グランドピアノを置いた部屋など、子どもならではの自由で斬新な発想が次々と披露された。それだけでなく、工費や運営費などの現実的な視点も踏まえた質の高い提案が続き、会場はまるで本物の企業コンペのような熱気に包まれた。審査員として参加した大学教員や建設会社の担当者からも、驚きと賞賛の声が上がった。

発表の出来栄えに、関係者も驚きの声をあげた

「緊張したけど、自分たちの考えをしっかり伝えられた」と語ったのは、2組Cチームの髙橋卯京さん(11歳)。同じチームの大桃荻さん(11歳)も、「自分が言うべきことをちゃんと発表できたので良かった」と、ほっとした様子で話した。

髙橋卯京さん(中央)と2組Cチームの皆さん

 

大桃荻さん(右)と友人ら

発表の様子を見守った丸山哲也学年主任(42歳)は、「こうした機会を得るのはは本当にありがたい。人を呼ぶ空間をつくるためには、ものづくりを通して他者を思いやる視点が必要になる。これまでの授業では難しかった指導が、『ものづくり科』では実現できるようになった。子どもたちにとって貴重な経験になったと思う」と語った。

『ものづくり科』の取り組みに手ごたえを感じる丸山哲也学年主任

審査員長を務めた小柳建設株式会社の小柳卓蔵代表取締役は、「感動した。皆が熱意を持ち、頭の中でさまざまな空間を想像し、運営まで考えるという経験ができたのは本当にすごいこと」と高く評価。「皆さんの想像力が、私自身が忘れていたものを思い出させてくれた。本当に感謝しかありません」と本紙に語った。

「自身が忘れていたものを思い出した」と語った小柳卓蔵代表取締役

今後は、選ばれた案を基に、実際のリノベーション計画が進められる予定だ。
学びの場で生まれたアイデアが、地域の未来を形づくる第一歩となるかもしれない。

(文・撮影 湯本泰隆)

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