【国際交流イベント】「日本の常識にとらわれない生き方を」マラウイ共和国駐在の大矢洋一大使が中高生と座談会(新潟県長岡市)

集まった中高生に、海外の様子について話す大矢洋一大使

長岡市和島地域出身で、アフリカ・マラウイ共和国に駐在する大矢洋一特命全権大使(63)が4月4日、市内の「ミライエ長岡」で開かれた中高生向けの座談会に登壇し、自身の外交官としての経験や、国際社会のなかでの生き方について語った。

会場には、市内の中学生・高校生14人が参加。大矢大使は、外務省に入省した経緯や、アフリカやアジアを中心に、これまで10カ国・11の在外公館で勤務してきた軌跡を紹介した。最初の勤務地だったサウジアラビアから、突然の異動で氷点下12度の米アラスカ州に赴任したエピソードなども、ユーモアを交えて語り、会場は終始和やかな雰囲気に包まれた。

大矢大使は自身の生い立ちについて、「全然優秀ではなかった」と振り返る。転機が訪れたのは中学1年生の頃。当時、機械工学の技術者として働いていた父親が、JICA(国際協力機構)の指導員として海外に派遣されることになり、父親と共に、ケニアのナクルへ。現地の生徒と肩を並べて学校で学んだという。中学3年生のときに帰国し、長岡高専に進学。寮生活を始めたが、なんとなく学校になじめなかったという。日々の暮らしの中で、「過酷な生活の中で、いかに自分を保つかということを学んだ」と語った。

「日本はこれから各国をきちんと認識していかなければならない。人口が減っていく中で、もっとグローバルな視点で物事を見ないと、日本は立ち行かなくなる」と、大矢大使は参加した若者に警鐘を鳴らす。そして、「人生を100点満点で生きようとすると疲れてしまう。60点くらいでOK。日本の常識にとらわれず、もっと自由に生きてほしい」と、温かいメッセージを贈った。

マラウイの文化について語るカンガ・クレバー・ンコクウェさんは、シイタケの研究をするために、新潟大学博士課程で学ぶ

「大矢大使の話に共感した」と語る西村健大さん

座談会には、マラウイ出身で新潟大学に通う留学生、カンガ・クレバー・ンコクウェさんも参加。現地のあいさつや食文化、成人式で年長者が若者に生活の知恵を伝える伝統など、マラウイの豊かな文化を紹介し、国際理解を深める機会となった。

参加者の一人で、新中学2年生の西村健大(けんた)さん(13)は、兄がドイツのトリアに滞在した経験をきっかけに国際交流に興味を持ち、今回のイベントに参加したという。「いろいろな常識にとらわれず、自分を解放していくことが大切だという話に共感した」と語った。また、新高校1年生の加藤伶実さん(15)も、「外国に対するイメージが大きく変わった。文化の違いを強く感じた」と話した。

この日、大矢大使は長岡市役所も訪問し、磯田市長を表敬した。市長は「国際社会で活躍する地元出身の方と、子どもたちの交流の場を作っていただき感謝している。留学生との新しいつながりも、今後に期待したい」と述べた。

 

(文・写真 湯本泰隆)

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