新潟市議会農政議員連盟が農用地区分の見直しなどについて中原八一市長へ要望

要望書提出の様子

新潟市議会農政議員連盟は30日、同市の農業振興地域整備計画再編に際して、農用地区分の見直しと農村地域の柔軟な土地利用を求める要望書を中原八一市長へ提出した。

今回の要望の内容は、新潟市農業振興地域整備計画の再編に置ける農用地区分の見直しによる農村地域の柔軟な土地利用、園芸振興と農業の担い手の育成に向けた農業者の支援制度創設、農業者の声を聴く機会の増加と施作への積極的な活用の3点。

新潟市議会農政議員連盟会長の佐藤幸雄市議は「2000年の新潟市内の農業就業人口は2万5,000人ほどだったのに対し、2021年7月時点では実質8,000人程度と、極端に減少している。また高齢化により稲作を辞めたいものの、農地の引き受け手が見つからず、土地を持て余してしまう状況が生まれている」と解説する。

農地法により食料生産の基盤である農地の転用や売買は厳しく制限されているため、農地を有効利用することも、手放すこともできない土地保有者にとっては、土地改良費と固定資産税の支払いが発生する土地を保有し続けるしかない現状が存在しているという。また、ライスセンターなど農業用施設であっても、農振農用地(青地)内に立地する場合は、従業員の休憩所やトイレ、事務所などの設置は制限されている。

新潟市では現在、2005年の大合併以来となる農振計画の再編を実施しているが、この機会に際し農政議連では要望書の提出を通して、現在の青地が適切なものであるか総検討を行うと共に、より柔軟な利用ができるように求めた。

中原八一市長(写真右)へ要望書を手渡す、新潟市議会農政議員連盟会長の佐藤幸雄市議(写真左)

中原市長は要望へ対し「合併に際し新潟市では農振計画が15計画になったが、現在の行政区ごとの8計画に統合することが今回の再編の趣旨であり、計画を変更するものではない。地域の問題点の指摘はもっともなことであるが、市としては速やかに再編成を行い、(各農地ごとに)個別に対応していきたいと考えている」と返答した。

一方で佐藤市議は「基本的に農地は大きく変わるべきでないと思うが、実際の問題として、農家からは『合併以後、新潟市では(農振農用地の)規制が厳しくなった』との声が上がっている」と他県や他市町村の事例を挙げつつ意見を述べた。

中原市長は「農振の除外については農地ごとにそれぞれ事情が異なっており、多様な課題を農業部門だけですべて解決することは難しい」と姿勢を崩さない一方で、「私も農業情勢へ対する認識は佐藤市議と大きく隔たりは無い。新潟市が特段厳しいという状況があるのならば、農業部門だけでなく、まちづくりの部門などと共に他県・他市町村の事例を勉強し、また積極的に農家の皆さんと意見交換をして解決していきたい」と話した。

(文・鈴木琢真)

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