新潟県内最古の木造電車「モハ1」長期保存のため、加茂市がふるさと納税型クラウドファンディングを実施

加茂市内に保存されている「モハ1」(加茂市教育委員会提供)

新潟県加茂市の藤田明美市長は3日に定例会見を開き、市内に展示されている県内最古の木造電車「モハ1」を長期に保存するための屋根を建設するにあたり、経費の一部に「ふるさと納税型クラウドファンディング」による寄附金を活用することを明らかにした。寄附者は、寄附額のうち2,000円を超える部分の所得税と住民税の控除が受けられるほか、加茂市民以外は、模型など寄付額に応じた返礼品を受け取ることができる。

現在の加茂駅と五泉駅を結んでいた蒲原鉄道線は、1923年10月に五泉駅・村松駅間を部分開通して開業。加茂市に保管されている「モハ1」も同年に製造され、1954年の現役引退まで地域の足として活躍した。

引退後の「モハ1」は車輪を外されて倉庫として利用されていたが、1999年の蒲原鉄道廃線に伴い、処分されることとなる。しかし愛好家などから要望があり翌2000年、加茂市へ寄贈。現在は同市内の冬鳥越スキーガーデンに保存・展示されている。

定例会見を開く新潟県加茂市の藤田明美市長

モハ1 内装(加茂市教育委員会提供)

現在「モハ1」は野外に展示されているが、加茂市では長期保存を考えて屋根の設置を計画(11月末に完成予定)。工事には新潟県地域活性化事業の補助金を用いるが、さらに経費の一部へ寄附者が寄附金の用途を限定する「ふるさと納税型クラウドファンディング」も活用する。受付期間は、8月20日から10月31日まで。申し込みは、株式会社さとふる(東京都中央区)のwebサイトからとなる。

「ふるさと納税型クラウドファンディング」は通常のふるさと納税と同様に、寄附者は控除上限額内の寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税の控除を受けることが可能。また加茂市民以外の寄附者には、鉄道模型キット「モハ1 HOゲージ80分の1サイズ」や、寄附者銘板、レール文鎮など寄附額に応じた返礼品を用意する予定だ。

加茂市教育委員会社会教育課の中澤資裕氏は「『モハ1』は単に珍しいだけではなく、時代の波に翻弄され数奇な運命を辿った車体。地域社会の辿った足跡を反映するからこそ保存する価値があり、1つの車体からそうした点を読み取ってもらえたら」と今回の事業の意義と今後への期待を話す。

今後加茂市ではクラウドファンディング実施に伴い、加茂市では8月下旬頃に蒲原鉄道の歴史などを紹介する特設サイトを設置する予定であるほか、秋には鉄道写真家・小竹直人氏の記念講演会や「七谷と蒲原鉄道にまつわる記念展覧会」を実施する。

モハ1(加茂市教育委員会提供)

 

【グーグルマップ 冬鳥越スキーガーデン】

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