新潟県内で最も収穫時期の早いコシヒカリ系早生品種「五百川」の稲刈りが始まる

新潟県新発田市で7日、蝉の声が響き渡る炎天下のもと、コシヒカリ系早生品種「五百川」の稲刈りが行われた。8月中旬には県内各スーパーに並び「お盆時期に食べられる新米」として売り出すほか、首都圏でも8月下旬から売り出すことでお中元需要も狙う。

「五百川」は2003年7月に福島県で発見されたコシヒカリの変異種。田植えから約100日で稲刈りが可能になるという極めて早い成長速度が特徴であると同時に、「元となっているコシヒカリと食味も香りも遜色ない」と今回県内で最も早く稲を収穫した新発田市の井上尚一さんは話す。

稲刈りの様子

真夏にも関わらず黄金色に実った「五百川」。井上さんは農薬不使用栽培を行っている

県内では今年は8月中旬から各スーパーで販売を開始する予定で、本来であればお盆時期の帰省に合わせて販売することで、家族での内食や新潟からのお土産としての需要を狙っていたが、昨年・今年は新型コロナウイルスによる県外往来自粛の影響が大きいという。

一方で、首都圏を中心とした大都市でも8月下旬から販売を開始する予定で、これまで九州産が中心だったお中元向けの需要を、「コシヒカリ」や「新潟米」のブランドで覆してしていくことが期待されている。

また栽培の面では、稲熱病などの高温障害が発生する前に収穫時期を迎える点や、既存の稲と収穫時期が重ならないことから、稲刈りの作業量が分散できるというメリットも存在し、特に最近は、既存の農家から農地を借りて稲作を始めた若い農家が増加していることからその利点が大きくなっているという。

全国的に米の消費が落ち込む中、今回の「五百川」のような個性的な強みを持つ品種が、消費拡大や作り手の増加にどう影響していくか注目だ。

(文・鈴木琢真)

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