日露戦争の連合艦隊司令長官、東郷平八郎が揮毫した絵画が上越市の小学校に残る

小学校に保管されている東郷平八郎が揮毫した絵画

1905年の日露戦争で連合艦隊司令長官として指揮を執り、ロシアのバルチック艦隊との日本海海戦での完勝により国内外で英雄視された東郷平八郎(最終階級は元帥海軍大将)。その時の様子を描いた「日本海海戦三笠艦橋の図」の複製画に、東郷自らが訓示を揮毫(きごう)した絵画が上越市立春日新田小学校に保管されている。絵画は現在、上越市立博物館に寄贈する方向で調整している。

春日新田小にある絵画は上越市出身の画家、玉井力三さんによる複製画で、東郷は昭和4年に東郷の自宅に持ち込まれた絵画に揮毫したという。オリジナルの原画は関東大震災で一度焼失し、その後再製されている。この再製された原画は煙突の煙が上部に描かれたため、余白が生まれている。玉井画伯は再製された方の原画を参考に複製画を仕上げており、原画の方に揮毫はないが、複製画は丁度この余白に揮毫した形だ。将来的には、玉井さんの作品も上越市立博物館に寄贈する方向だ。

昭和4年ころに春日新田小に寄贈された絵画は戦後当初は飾られていた。しかし、終戦で戦争に関するものが処分されたことから焼却の対象となったが、終戦間もない当時の校長が校内の物置に隠し、行方不明の扱いとした。

その後、校長を指導する立場である指導主事に若くして赴任した故渡辺文雄さんは、昭和37年に春日新田小に訪問した際に、当時の校長からこの絵画の存在を知らされた。昭和60年に縁あって同校の校長として赴任し、絵画を捜したところ、物置から発見された。当初は校長室に飾られていたが、現在は多目的室に設置されており、カーテンが掛けられている。

上越市立春日新田小の亀山浩校長は「戦争のことなので、子供たちに積極的に開示するのは少しはばかられる。ただ、貴重な文化的な資料なので、大事にしていきたい。上越市立博物館が戦争を特集する時に見てもらえば、より生かされると思っている。戦争を賛美するつもりは全く無いが、その時代が在ったことも事実。その意味で正当に評価されるべきだと思っている」と話した。

新潟県立吉川高等特別支援学校の目細克巳教諭(左)と上越市立春日新田小学校の亀山浩校長(右)

三笠公園(神奈川県横須賀市)にある東郷平八郎の銅像(背後に映っているのは「三笠」)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓