新潟県の小千谷市民会館で「クールジャパン推進会議」が開催される

第一部は「錦鯉フォーラム」

錦鯉は県の観賞魚に指定されている

地方のクールジャパン資源の発掘・発信を目的に、クールジャパン戦略担当大臣が、知事や有識者とともに、地域の様々な魅力を発信していく方策などを話し合う「クールジャパン推進会議in新潟」が15日、小千谷市の小千谷市民会館(大ホール)で開催された。この会議は全国各地で開催されていて、今回の開催は14回目となる。300名が聴講した。

会議は2部構成で開催された。第1部では、伊佐養鯉場(株)の伊佐光徳代表取締役、月刊錦鯉を発行する(株)錦彩出版の馬場俊三代表取締役、錦鯉の輸出を手掛ける三信トレーディング(株)の範軍代表取締役、日本政策投資銀行新潟支店の関尚久次長などが登壇し、インバウンドのキラーコンテンツ「錦鯉(NISHIKIGOI)」をテーマにフォーラムを行った。

錦鯉は、泳ぐ宝石といわれ、ガーデニングなどが盛んな欧米で人気があったり、風水を重視する華僑の間で重宝されたりして海外での人気が高まっている。オランダ、香港、ドイツ、イギリス、アメリカのほか、最近は東南アジアへの輸出も増えており、昨年は約40カ国に43億円ほど輸出された(精米の輸出より多いという)。このうち錦鯉発祥の地である新潟県(小千谷市など)からの輸出は7割を占めるそうだ。また観光面にも活性化をもたらしていて、錦鯉のシーズンともなると、長岡市や小千谷市内のホテルは、海外のバイヤーなどで満室状態になるという。

産地としての新潟県の強さは、発祥の地というブランド力、生産技術の高さ(選別、掛け合わせなど)、環境(錦鯉を育む綺麗な雪解け水や土壌)などがある。その一方で、課題も浮き彫りになってきている。その一つが、産地間の競争激化だ。例えば、市場規模が700億円あるともいわれる中国では、国を挙げて養鯉技術の向上やマーケティングの強化(「錦鯉発祥地は中国」などとPR)に取り組んでいる。日本に比べ人件費も安く、安価に錦鯉を提供できることから、日本から中国へ比重をシフトするバイヤーも増えているという。こうした中国の養鯉者との競争に勝ち抜いていかなければならない。

だが、国内の養鯉業者は、後継者不足、養鯉に使う水田の減少、コイヘルぺスウイルス病発症のリスクなど様々な課題を抱えている。「コイヘルぺスウイルスが発症すれば、全ての鯉を処分しなければならず、養鯉場にとって死活問題。完全防疫ができるのかなど研究を進めてほしい」などとの声が上がっていた。

後継者不足については、「品評会に若者の姿が少ない。錦鯉はSNS映えするのだから、SNSで拡散するようにし、若者に錦鯉の魅力を伝えることが必要」などとの意見が出ていた。また、中国が発祥の地を名乗り始めていることに関連し、「早く国魚に指定すべき」などという意見も出ていた。さらに「紙幣に国鳥であるキジが描かれたことがあるのだから、次の次の紙幣デザインの変更の際には、模様が細かく偽造防止にもなる錦鯉の図柄を提案したらどうか」という意見もあった。

このほか、「かつて水害で多くの文献が被害にあった。ミュージアムを拡充し、分散している文献や写真を1カ所に集めて展示したほうがよい」「フレディ・マーキュリーは錦鯉の愛好家だった」「ポケモンGOと連携し、小千谷に来ないと錦鯉が手に入らないようにすれば、小千谷に来る人が一気に増える」(註・こちらは第2部で出ていた意見)という意見が出ていた。

なお会議の冒頭で、クールジャパン戦略の最新の動きについての説明があった。それによると、日本人ではなく、日本人と外国人とではクールと思うものが異なるなか、外国人がクールと思うものが重要との視点から、最近は外国人有識者などとの意見交換を重視しているという。

第一部の錦鯉フォーラム

平井卓也クールジャパン戦略担当大臣

配布資料より

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