ヤフー株式会社が公募していた企業版ふるさと納税の寄附事業に新潟県含む8自治体が選定、同社がオンライン説明会を開催
ヤフー株式会社(東京都千代田区)は24日、国内初の「カーボンニュートラル」をテーマにした公募による企業版ふるさと納税(※)の寄付先に、新潟県など8つの地方公共団体を選定し、Zoomによるオンライン説明会を開催した。
同社は今年1月、企業版ふるさと納税の寄付先となる地方公共団体を公募する取り組み「Yahoo!JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」を発表。「カーボンニュートラル」をテーマにした企業版ふるさと納税の公募は国内で始めての取り組みであるという。
応募があった地方公共団体の厳正な審査を行った結果、寄付先として北海道三笠市、宮城県、埼玉県、神奈川県平塚市、新潟県、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町の8つの地方公共団体が選定された。
新潟県では、農林水産業における温室効果ガスの排出抑制・削減、吸収源対策に寄与する技術開発である「水田からのメタン等の発生抑制技術開発」、「園芸作物の投入エネルギー量削減技術の開発」、「アカモク等有用海藻増養殖技術の開発」、「無花粉スギ実生品種の開発」の事業において、393万8,000円の寄附が決定した。
「水田からのメタン等の発生抑制技術開発」では、地下水位制御システム(Foeas)を活用し、稲作に影響を与えずに水田からのメタンガス排出量を削減できる冠水管理技術を確立するとともに、県内で利用されている堆肥などの有機質資材の成分データを収集・解析し、作物生産と温室効果ガス発生抑制のバランスが最適になる培養方法の開発を目指す。
「園芸作物の投入エネルギー量削減技術の開発」では、点滴などを用いた環境負荷の少ない病害虫防除技術の開発と合わせ、施設栽培における最適な温度条件と効率的な加温方法などを検討する。これらの技術により、作物栽培への投入エネルギーが削減され、温室効果ガス排出量の削減に繋げることが期待できる。
「アカモク等有用海藻増養殖技術の開発」では、県の水産海洋研究所において、二酸化炭素の新たな吸収源となりうるアカモクの養殖を定着させ、県内漁業者の所得向上を図るため、新潟県に適した簡便で効率的な養殖技術の開発を行う。
「無花粉スギ実生品種の開発」では、県の森林研究所において未花粉スギ実生品種の新品種を開発する際に、地域の精鋭樹(成長が優れている木)を用いることで、通常よりも杉の成長が早くなるという。そして、その分二酸化炭素の吸収量の早期増加が期待される。
説明会に参加した同社の執行役員コーポレートグループSR推進統括本部の西田修一部長は、「私達自身が自らカーボンニュートラル・脱炭素に対するアクションを取るということは大切であるが、一方で今回のように(自治体と)連携をしながら、この持続可能な社会の挑戦というものを続けていければと思っている」と話していた。
(※)国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組み。
(文・高橋由季)