株式会社東京商工リサーチが新潟県内の2021年3月期決算企業の業績動向調査結果を発表
株式会社東京商工リサーチは24日、2021年3月期決算企業の業績動向調査の結果を発表した。
調査によると、新潟県内の企業(資本金1億円未満の企業、対象企業数927社)では全体で63.0%が減収となった。一方、利益面では全体で減益企業が43.8%、増益企業は55.3%となり、減益企業の比率が増益企業を下回った。
また増収増益となった企業は26.9%。黒字企業率は74.2%で、全国平均の77.0%を下回る結果となった。なお参考として、資本金1億円以上の大企業(対象企業数55社)では、減益企業は43.6%となり、サンプル数は少ないものの、資本金1億円未満の中小企業と比較して大差がない形となった。
新潟県内(資本金1億円未満の企業)では10産業中、9産業が減収。1番減収率が高いのは運輸業で全体の82.1%、次いで製造業が71.8%、小売業が70.4%で、金融・保険業は増収、減収ともに50.0%であった。
一方、1番減益率が高かったのは製造業で57.3%、不動産業が51.4%となっている。コロナ禍でも増益率が高い業種は金融・保険業で66.7%。またサービス業他が59.6%、次いで卸売業が57.6%と続いた。減収傾向が占める中、増益要因としてはコロナ関連支援策(雇用調整助成金、持続化給付金)による効果の恩恵を受けたものと見受けられるという。
3月期決算企業は、コロナ禍の影響で売上の落ち込みが幅広い業種に及んでいるが、赤字率は前期より低下し、増益企業は増えている。深刻な事業環境の悪化で売上高は減少したが、資産売却などのリストラやコロナ対応の補助金・給付金などの特別利益が利益を押し上げたことが背景にある。
無担保・無利子融資などの資金繰り支援策も機能し、コロナ禍の倒産減少が続いているものの、感染拡大の収束は見通せず、本業回復は遅れている。東京商工リサーチは、厳しい経営環境が長引き、疲弊感は強まるなかで緊急避難的な支援策はいずれ終了し、支援頼みの経営維持にも限界が来るとしている。
なお、全国企業の2021年3月期の増収企業率は、前期に比べて大幅に低下し、大企業・中小企業そろって約7割が減収だった。一方で、利益面では増益企業率が大企業53.9%(前期44.8%)、中小企業も49.5%(同44.5%)と改善した。
減収増益の傾向が強まった背景には、やはりコロナ禍ならではの要因があるようだ。コロナ関連支援の補助金や給付金、リストラによる人件費などの固定費削減、不動産などの資産売却など、様々な特別利益を計上し、減収でも一時的な増益を招いた構図が浮かび上がってくる。
産業別では10産業中、金融・保険業を除く9産業が減収で、新型コロナの影響が広範囲に及んだことが鮮明に表れた。
また、3月期決算を迎えた3万9,006社の2021年3月期の売上総額は135兆7,285億円(前期比7.6%減)で、前期から11兆2,160億円減少した。大企業の売上高は前期比8.4%減に対し、中小企業は同4.7%減で、中小企業の落ち込みが3.7ポイント小さかった。
なおこの調査は、東京商工リサーチの企業データベースで今年6月末時点で収録した約4万社の2021年3月期決算企業の業績を集計し、2017年3月期以降の過去4期分の3月期決算と比較したもので、資本金1億円未満および個人企業を中小企業、資本1億円以上を大企業と定義している。