新潟県長岡市で「相乗りタクシー」のマッチング支援の実証実験がスタート
単独乗車に比べて最大40%割安に
首都圏でタクシーの相乗りマッチングサービスを展開する株式会社NearMe(ニアミー)、長岡市内のタクシー会社で構成する長岡市ハイヤー協会、長岡市は21日、アオーレ長岡で共同会見を行い、7月1日から長岡市内でタクシーの相乗りマッチングサービスの実証実験を行うと発表した。
実験では、NearMe社が提供するタクシー相乗りマッチングアプリ「nearMe.」を使う。このアプリでは、行先を入力するすると、GPS機能などを使い、半径800m以内にいて、かつ同じ方向に向かう“相乗り候補”をアプリに表示、相乗りをマッチングする。「知らない人同士でタクシーに乗る」という不安を和らげるため、事前に性別などが分かるようになっているという。
その後、実際に相乗りをすることにした場合、メールなどで待ち合わせ場所をやり取りし合流し、タクシーに乗車する。
それぞれの目的地をもとに、それぞれの乗車料金(見積額)を事前に自動計算する。運転手への支払いは最後に下車する人が行うが、途中下車の人からタクシー代をもらう必要はない。見積額をもとに、事前登録してあるクレジットカードを使って、途中下車した人の建て替え金額をアプリ内で自動決済するためだ。これにより、相乗りした者同士の金銭トラブルも回避することができる。単独でタクシーに乗り、目的地に向かう時と比べて、最大で40%安いという。(なお、見積額と実際の料金は多少変動するが、これは合意の上での利用となる)。
「○日○時ころに○まで向かう」などと事前にマッチング候補探しを予約しておくこともできる。
高齢者の足として期待
首都県以外では初めての実証実験となるが、長岡市の実験では、飲み会帰りの足、観光地へ向かう二次交通などの用途に加え、地方の課題である高齢者の足の確保策(買い物、通院など)として期待が特に大きいといえる。ただ、スマホを利用する高齢者は増えているとはいえ、操作に不慣れな高齢者も少なからずいる。そこで長岡市では、高齢者のダウンロードを支援していくことを検討している。
また、実証実験は7月から8月と10月から11月の2回行い、その後、本格展開するかどうか判断することになるが、利用者数などはその大きな判断材料の一つ。そこで、「4大学1高専、専門学校など市内に1万人いる学生の利用」(長岡市の磯田達伸市長)なども促していく方針だ。また「居酒屋などの飲食店や病院と連携」(長岡市ハイヤー協会の小川浩司会長)して、こうした施設の協力のもと、マッチングしていくことも検討していく。「都内の実験では、認知度がまだ高くなかったこともあり、マッチング率はまだ10%だったが、アンケート調査では7割が利用してみたいと回答したことから潜在的な利用者は多い」(会見出席者の一人)という。
タクシー利用者側だけでなく、タクシー会社側にとってもメリットがある。現在、旧長岡市内には、ジャンボタクシーなども含め305台のタクシーが稼働しているが、実車率は45%ほど(県平均は41%)。このサービスがうまく軌道に乗ることで実車率が高まることが期待できる。また、相乗りマッチングにより、タクシー1台当たりの乗車人数が増えてくれば、それだけ地域の公共交通機関として役割を果たすことにもなる。
一方、NearMe社では来月から、AIを活用し最適ルートをはじき出し最大9人をピックアップして空港などに向かう相乗りの「スマートシャトル」の提供を始めるが、長岡市でも将来、新潟空港や成田空港に向かうジャンボタクシーなどが登場する可能性もあるという。