新潟まちづくり研究会が公共交通に関するセミナーを開催
宇都宮市の事例などが紹介される
新潟まちづくり研究会(代表代行=小島隆県議会議員)は22日、新潟市中央区で「まちづくりセミナー(公共交通に関するセミナー)」を開催した。二部構成で、第一部は、2022年にLRTが開業する宇都宮市の吉田信博副市長(元新潟市技監で、当時BRT導入に関わっていた)が「宇都宮のLRTとまちづくり」について講演。第二部は小島隆県議会議員が「ポートランドに学ぶ街づくり」をテーマに講演した。約70名が聴講した。
現在の宇都宮市民の交通手段は鉄道駅が少ないことなどもあり、自動車分担率(すべての交通手段の中で自動車が利用される比率)は70%近くと全国の中核市の中でも屈指の高さ。一方、街中が賑わっている印象がある鹿児島市や金沢市などは50%台後半から60%台少しという。こう見ると、自動車分担率を低下させることは、帰路の交通を心配して街中で飲まない人を少なくすることにもつながるようだ。
そんななか、宇都宮市では2022年のLRTを開業する。運行ルートは、JR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地(芳賀町)までの14・6キロメートル。その間には、総従業員数がおよそ1・4万人いる巨大工業団地「清原工業団地」などもある。料金は150円から400円。ピーク時には6分間隔で走らせ、1日1万6300人の利用を予測している。
軌道や車両(新潟トランシス製)を市と町が保有し、民間会社(三セクだが将来、市と町の株式保有比率を低減し民間主導にする)の宇都宮ライトレール株式会社が運行する「上下分離方式」で運営する。これによって運行会社は投資額を抑えられることから初年度から赤字を回避できる見込み。市や町の赤字補てんも他の公共交通に比べても大きな持ち出しにはならないという。
一方、沿線の土地の価値が高まる効果も出ているほか、(多くの都市で人口減少に伴いバス路線の縮小が進む中、)開業によりLRTの駅と郊外をつなぐバスなどの便数が増加する予定という。こうしたこともあって、延伸を予定している宇都宮駅の反対側(西口側)の住民などからも早期開業に対する期待も大きくなってきている。
このほか、駅の周辺にトランジットセンター(パーク&ライド駐車場、歩行者空間、自家発電機など)を設置する予定だ。