新潟県内で契約数50万件以上を誇る小さなガリバー「新潟県民共済」
県民共済-。コンビニエンスストアや新聞折り込みをなど様々な場面でチラシを見たりしたことのある新潟県民は多いことだろう。
その県民共済を一口でいうと、手頃な掛金と充実の保障の生命共済(生命保険)と火災共済を行っている生活協同組合である。「県民共済」という名称だが、実は現在42都道府県で事業を行っている全国組織なのだ。 新潟県にも新潟県民共済(新潟県民共済生活協同組合、所在地は後述)があり、契約数は火災共済を含めて50万件超にものぼるという。
この手頃な掛け金を可能にしているのが、そもそも営利を目的にしていない組織ということに加え、「シンプルな商品」「スリムな組織」だ。
シンプルな商品でいえば、多くの生命保険会社では、多様なニーズに応えるため、非常に多くの特約や保険商品をラインアップしている。しかし加入者側から見ると、あまりにも複雑にうつり、自分がどんな保険に加入しているのかさえ分からなくなることが多い。これに対し、県民共済の 生命共済の 保障内容は、基本的に「医療保障+死亡保障」のシンプルな構成なので、非常に分かりやすい。特約をつけたり、コースを組み合わせたりすることはできるが、それでもシンプルだ。
こうしたシンプルさもあって脱退率(解約失効率は、一般的な生命保険では5%台だが、県民共済では平均して3%台となっている)は低く、継続して利用される人が多いため、 安い掛け金を実現しているのだ。またシンプルな商品で説明が簡単なため、チラシやインターネットなどで営業ができることも、営業経費を少なくしている一因となっている。
(なお県民共済の保障は、申込の際に健康条件はあるが、 年齢や性別に関係なく、基本的に一律掛金で、一律保障の制度になっている)。
新潟県民共済の職員数は50名ほどで、これは契約数が50万件を超える組織としては少ないといえる。当然、拠点数も少ない。多くの生命保険会社などでは、多くの営業拠点と営業担当者を揃え“人海戦術”を行っているのに対し、新潟県民共済は、新潟市(本部)と長岡市(支所)にある2拠点しかないのだ。それも長岡市は今年4月に開設したばかりだという。
こうしたことで、 県民共済グループ全体としては 経費率はわずか12.2%に抑えている(保障のみの一般の生命保険商品では、保険料の半分近くが事業経費と言われている )。
今年4月に長岡支所が開設
先述のとおり、4月1日に長岡市に支所をオープンした。支所は4階建てのガラス張りのビルで、1~3階まで吹き抜けになっている。
1階は展示スペースとして貸し出しを行っていて、開設後、「ベビースマイルコンテスト」(https://niigata-babysmile.com/)が開催されたという。
2階はカウンター窓口。3階は研修室、多目的会議室で、こちらも貸し出しを行っており、プロジェクターもあるそうだ。4階は災害時対策フロアーとなってい
るため、万が一災害が発生した際には県外から支援要員が派遣されてくることもあるが、上中越地域で災害が発生した場合、長岡支所を拠点に(24時間)災害対応にあたることができる。また本部(新潟市中央区)が機能しなくなった場合のバックアップ拠点としても活用できる。
今後は、常駐する5名の職員を含めて長岡支所を拠点に、上越、糸魚川、魚沼などで出張相談会を行うことを計画している。「これまで本部から上中越地域の出張相談会に行っていましたが、これからは長岡支所を拠点に行うことができるようになります」(新潟県民共済)。
昨年、地震特約が新設された「火災共済」
一方、火災共済(火災保険)にも注目が集まっている。昨年、これまでの地震保障に保障額を上乗せできる「地震特約」を設けたほか、加入する住宅に20万円を超える被害 が出た場合、5万円の見舞金が支払われる仕組みを現状の掛け金のまま新設したことで、さらに加入者が増えているのだ。
なお6月18日に発生した地震で被害の出た村上市府屋地区でも80世帯が県民共済の火災共済に加入していたそうだ。なお支払い手続きは、 現場調査だけでなく、半壊以上の被害認定は行政が発行する「り災証明」でできることも便利なところだ。