【インタビュー】(株)オーシャンシステム(新潟県三条市)代表取締役社長 樋口勝人氏、新サービス”オーシャンスキャン”で「お客様が便利で使いやすいサービスを提供したい」
スーパーマーケット「チャレンジャー」「業務スーパー」などを運営する株式会社オーシャンシステム(新潟県三条市)。新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらもテレビの反響などから売り上げを伸ばし続ける同社では、4月から新サービス「オーシャンスキャン」を開始した。
ネットとリアルの融合であるDXへの取り組みとして開始された「オーシャンスキャン」は、同社のアプリ「オーシャン・ネットスーパー」の追加サービスとして、カメラ機能を起動させて商品バーコードやカタログ掲載バーコードを読み込み、数量を決定するだけで最短翌日、チャレンジャー・業務スーパーの商品が自宅、会社に届く県内初の新サービスだ。
にいがた経済新聞でも以前、「(株)オーシャンシステム、スマホでスキャンするだけで注文完了・翌日配達の新サービス「オーシャン・スキャン」を開始」として取り上げていた。
この新しい取り組みを受け、同社の代表取締役社長の樋口勝人氏に新サービスや今後の展望などについて話を聞いた。
ーー改めて売り上げなど、新型コロナウイルスの影響はありましたか。
樋口 影響はありましたね。良い方にも悪い方にも。事業部がランチサービス事業部と宅配事業部、チャレンジャー事業部と業務スーパー事業部、その他に外食事業部があるのですが、それぞれの影響をパーセンテージでいうと、コロナ前はランチ事業がトレンドで言うと+102%、平均を取ると毎年+102%くらいで推移しているのがコロナになって今期で98.5%に。
宅配事業部が今までのトレンドが98%前後だったのが前年で言うと+107.8%。チャレンジャー事業部がトレンドで言うと+約101%弱だったのが+104.7%。業務スーパー事業部が+130%くらいに。(業務スーパー事業部は)テレビの効果が大きいですね。外食事業部は元々94%だったのが48.3%となりました。
ランチサービスというと企業向け宅配なので、企業の方が出勤されていないので当然減少しましたし、旅館や外食になるとやはりこれも半分くらいになったということで巷のニュースでやっている通りの結果になりました。宅配、スーパー事業部は残ったという感じですかね。
ーー小売業界の競争は激しいと思いますが、どのように差別化を?
樋口 前々から商品そのものにクローズアップして、商品を買えるような環境を作りたいと思っていました。発想としては店に行かなくても自宅がスーパーマーケットになるというのが究極だと思います。それに小売業界の競争も、差別化は今は必要ないと思いますが、20年後30年後には今やっていることが当たり前になっているので、スーパーマーケットの究極と先を見据えるような戦略がこの「オーシャンスキャン」でもあります。
ーーとても便利なサービスですよね。
樋口 そうですね。ここ最近セルフレジが多く普及してきたと思いますが、それによって自分でバーコードを読み取って買い物をするということは世の中的に慣れてきていますよね。今、我々が取り組んでいるのは自宅で同じようにセルフスキャンして買い物ができるということなのです。
それから、20年後30年後は当然現在よりもデジタル化が進んでいます。そのような時代になる前にまず今は店舗に来て買い物をしていただいて、「チャレンジャーの商品は安全で安心」というお客様の信頼を得て、デジタル化が進み店舗に出向かなくてもいいような時代が来た時に選ばれるお店になりたいと思っています。
ーーオーシャンスキャンはいつから計画されていたのですか?
樋口 スキャン機能は元々2017年くらいから計画がありました。当時はJANコードを登録することがシステム上できなくて、QRコードを読み込んで商品一覧が出てくるような感じでした。それがスタートでしたね。今は自社のJANコードをスキャンすることで直接その商品が(スマホの画面に)出てきます。
ーーほかにも新しい取り組みを始める予定は?
樋口 オーシャンスキャンの商品登録数は現段階で約4,000点となっていますが、店舗での商品数はチャレンジャーで約1万3,000点、業務スーパーで約2,500から3,000点あるので将来的には全商品を登録して、どの商品でもスキャンをすればいつでも自宅に届けられるようにしたいと思っています。
それと今取り組んでるのが店頭売価とスマホの売価を一緒にしようと思っていて。今なぜそれができないのかというと、スーパー業界では必要不可欠な棚札(プライスカード)が値段の設定を変える時にパソコンで打ち込んで修正は手書きでしているんですよね。100円で売っているものが売れないから90円にするとか、3時から特売でいくらにしますとか。これが今の日本の小売業界なんですね。
弊社はそこで意味を持って電子棚札にしようと思っています。店頭売価をそのままスマホに反映できるようになるからですね。その取り組みがちょうど8月末、9月くらいにある程度完成して県内の1店舗で試験的に始めるつもりです。
電子棚札が普及すれば、例えば弊社のアプリを登録しておくと「チャレンジャー●●店、●●を売価変更、100円が90円に、3時まで」などという通知が来る。今までは店舗に行って売価を確認していたのが、会社や自宅、どこにいてもその確認ができるようになるんです。
ーー最後に一言お願いします。
樋口 オーシャンスキャンは登録されている商品をカメラでスキャンするだけでどのような場所においてネット検索なしで買い物ができる。そこがネットとリアルの融合という一番のポイントかもしれません。私はお客様が便利で使いやすいサービスを提供したいだけなので、デジタルを全面に出すとか出さないとかではなくて、「いつでも買えますよ、どのような買い方でもいいですよ」というのがこのサービスの強みだと思っています。
(文・高橋由季)