新潟県三条市の企業創業者が相次いで弥彦村に転居? その理由とは
包丁や工具など金物産業が盛んで、「商人の町」とも称される新潟県三条市。人口比での社長の割合が日本一多い街と知られており、県内でも注目を集める企業が多いエリアだ。その三条市の企業の創業者(もしくは創業一族)がここ数年、相次いで三条市から弥彦村に転居しているという。
最初に弥彦村に移転し注目を集めたのは、大手サービス業の経営者などを務めた人物(故人)。「有名な企業ということで話題になりましたよ」。三条市の経済動向に詳しいメディア関係者はこう話す。
その後も、三条市に本社を構える流通企業の創業一族や、三条市内にある会社の元社長で市長を歴任した人物の親族も三条市から弥彦村に転居したという。
相次ぐ転居の背景には、度重なる水害の影響があるようだ。「特に平成16年の7・13水害を目の当たりにした、というのが大きいのではないでしょうか」と別の関係者は指摘する。たしかに、三条市のホームページを見ると、同市内では水害が頻繁に発生していて、平成16年以降だけを見ても大きな水害が4回発生しているようだ。
これ対して、弥彦村は、ハザードマップを見る限り、土砂災害のリスクのあるエリアが存在するもののその面積は僅かであり、たしかに水害リスクは小さいように見える。
三条市を代表する会社の創業一族の相次ぐ転居は、三条市にとって何かしらのデメリットをもたらすことはないのか。このことに関して、前出の関係者に尋ねると、「特にないとは思います。あるとしても税金くらいじゃないでしょうか」と話していた。働く人にとっても経済圏が一体であることから、住む場所は三条市でも弥彦村でも影響はないのかもしれない。
一方、三条市では、度重なる水害被害を受け、徹底した防災対策を講じており、平成16年の7・13水害時の約2倍の累計雨量を記録した平成23年の水害時には被害を最小限に留められたという結果もある(三条市の資料より)。
こうした結果を見ると、水害の多い地域でも徹底した防災対策により災害の被害を大幅に抑制することは可能といえる。また、どのような地域に暮らしていても災害に遭遇するリスクをゼロにすることはできない。こうしたなか、今後もさらに弥彦村に転居する創業者が増えるのか、あるいは転居の流れが落ち着くのか−−。
【関連リンク】
三条市の水害の歴史