フランス大手航空機エンジンメーカーと取引のあるエアロエッジが新潟市の中原市長と面談
新潟の航空関連企業との「協業」を検討
フランスの大手航空機エンジンメーカー「サフラン」との直接取引を行う数少ない国内企業であるAeroEdeg株式会社(エアロエッジ、栃木県足利市)が、新潟市の航空機関連企業などとの協業(共同生産など)の検討を始めた。これに伴い、同社の森西淳社長と次重彰人副社長が19日、新潟市の中原八一市長を訪問し、意見交換を行った。
エアロエッジは、2016年に菊地歯車株式会社の航空宇宙事業を分社化する形で設立された会社。サフランと長期契約を締結し、航空機用エンジン「LEAP」に搭載されるタービンブレードを量産、納品している。同社サイトによると、従業員数は126名。日本国内の中小企業が、航空機エンジン業界のグローバル企業から直接量産契約を勝ち取るのは異例のことという。
ブレードの納品数は年間10万枚だが、航空機エンジン「LEAP(リープ)」が使われているエアバス「A320neo」や、ボーイング「737MAX」などの中型機は市場規模が拡大していることから、今後、納品数が増加することもあり得るようだ。
一方、新潟市では、航空機産業の集積に向けた取り組み「NIIGATA SKY PROJECT(ニイガタスカイプロジェクト)」を推進している。そうしたなか、昨年7月、敦井産業株式会社(新潟市)、双日エアロスペース株式会社、株式会社日本政策投資銀行の3社の共同出資で新会社「新潟エアロスペース株式会社」(新潟市中央区)が設立され、今年1月に事業を本格的にスタートしている。
具体的な活動としては、同市南区の戦略的複合共同工場の入居企業(株式会社柿崎機械、佐渡精密株式会社、新潟メタリコン工業株式会社)や市内・県内の航空機部品製造企業と連携し、国内外への取引拡大を図っている。また将来的には、地域以内で多工程一貫受注体制を確立することを目指しているという。
エアロエッジでは、新潟エアロスペースのこうした活動を評価し、新潟エアロスペースを窓口に新潟県の企業との協業(共同生産など)の検討を始めたもの。また、新潟県内で産学官連携がバランスよく機能していることや長岡技術科学大学など将来を担う人材輩出機関があることも、検討の開始を後押ししたという。「協業の実現に向けて、1年ほどかけて品質、技術、安全面などについて協議をしていく」と森西社長は話していた(なお市長訪問後にも新潟エアロスペースとの打ち合わせだと言っていた)。
単なる委託生産ではなく一緒に考えていく関係に
ただ、「単に生産委託をするだけでなく、一緒に考えて進化していける関係になりたい」と森西社長。こうした体制を構築することで、一緒に進化して発展していくだけでなく、世界的に見て、おくれを取っているといわれる国内の航空機産業の挽回にもつなげたいという思いがあるようだ。
もし実現すれば、同社が生産する20~30%を新潟の企業が生産する可能性もあることから、ニイガタスカイプロジェクトの推進に一気に弾みがつくといえる。