世界市場シェア3割の大手ビール会社の日本法人社長が村上市などを訪問

バドワイザーなどの市場開拓の一環

ホテル清風苑で開催されたサマージャズ&ビアパーティに参加するロドリゴ モンテイロ社長

バドワイザー、コロナビール、ヒューガルデン――。世界市場シェア3割の米国・大手ビール製造会社「アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)」のプレミアムビール(クラフトビール)のビッグブランドだ。その日本法人「アンハイザー・ブッシュ・インベブ・ジャパン」のロドリゴ モンテイロ社長が7月21、22の両日、新潟県内を訪れ、村上市内の飲食店や、月岡温泉・ホテル清風苑で開かれたビールフェスタ会場などを精力的にまわった。社長の訪問の背景には、ABIが日本市場の本格的な開拓に乗り出したことがある。

一定以上の年齢の日本人が「バドワイザー」と聞いて思い浮かべる印象は、「薄い味のビール」ではないだろうか。そのバドワイザーを有するABIが日本市場の開拓に本格的に乗り出している。

日本市場と言えば、世界7位(数量ベース)で、国内大手4社がしのぎを削る。だが、ビール離れや高齢化などもあり市場規模は縮小している。そんななか、プレミアムビールだけは伸びているというデータもある。そこで、世界で人気のプレミアムビールを武器に、日本市場の本格開拓に乗り出したのだ。

2015年5月に日本法人を設立したのを皮切りに、昨年1月にはアサヒビールがライセンス販売していたヒューガルデンなどの販売を自社販売に切り替えた。また昨年末には、キリンビールとの間で、世界第三位の販売量を誇るバドワイザー製造・販売のライセンス契約が終了。今では米国や韓国の自社工場で製造したものが日本国内でも販売されており、「味も劇的に変わりよくなった」(関係者)という。

イベント開催にも力を入れている。ベストな食べ合わせ(マリアージュ)など「ビールを楽しむ」という概念を普及させ、(食との相性の良い)プレミアムビールの浸透を図っていくことが狙いのようだ。またイベントはSNSで拡散しやすいというメリットもある。この7月には沖縄のちゅらさんビーチで、「コロナ サンセットフェスティバル」を開催した。

岡田酒店(村上市)の存在

そうした流れの中でロドリゴ社長が新潟に来たのだ。21日には村上市や新発田市内のバドワイザーの生ビールを取り扱う村上市内の飲食店(柳庵、番屋パスタイム、ハイエスト)などを視察。夕方には新発田市の月岡温泉・ホテル清風苑に移動し、同ホテルで開催された「サマージャズ&ビアパーティ」に参加した。このイベントは毎年清風苑で開催されている人気イベントだが、今回初めてビールをバドワイザーのみにした。主催者の一人は、「当初、他の銘柄のビールはないのかという声が出るかと思っていたが、そんな声は全く出ずバドワイザーなどを片手にジャズや会話を楽しんでいました」と語る。

サマージャズ&ビアパーティの様子

サマージャズ&ビアパーティは毎年清風苑で開催されている人気イベントだが、今回初めてビールをバドワイザーのみにした。

それにしても他地域を差し置いてなぜ早々と新潟に来たのだろうか。それには訳がある。村上市にある岡田酒店の岡田茂樹代表の存在だ。岡田氏は、2011年から海外のクラフトビールの販売を始め、これまでに1800種類のクラフトビールを取り扱ってきた経験を持つ。

そんな岡田氏は今年の初め、ABIから同社の日本市場開拓を担う5社のうちの1社に指名されたのだ。しかも岡田氏以外は全国大手酒類販売会社だ。加えて、岡田氏だけが唯一調印を締結している。そして5社の中でも特に岡田の動きが活発で、新潟県内にとどまらず、仕掛けをしていくという。たとえば、個人向け市場の開拓だ。

業務用の開拓にも取り組んでいく。すでに先述の柳庵や、新発田市の「夕顔」などにはバドワイザーのビールサーバを入れている。今後もバドワイザーを扱う店舗の新規開店や、イベントなどの計画もあるとのことで、今後の動きから目が離せない。

2月に調印した際に撮影したロドリゴ社長と岡田茂樹氏。岡田氏は1996年単独渡米、ロサンゼルスへ。ELSサンタモニカ(語学課)を経てUCLA(カリフォルニア州立ロサンゼルス大学)心理学課程を修了している。

岡田酒店の店内。同店では、これまでに1800種類のクラフトビールを取り扱ってきた。

7月21日に村上市内を訪問した際に撮影した写真

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