新潟県内の企業や大学でSDGs達成に向けた取り組みが進む
新潟でも先端的な取り組み
SDGs――。「Sustainable Development Goals(サスティナブル・ディベロップメント・ゴールズ)」の頭文字。日本語に訳すと「持続可能な開発目標」という意味で、2015年の国連サミットで採択された。193の加盟国が2030年までに達成するために、全部で17個の大きな目標、目標ごとに169の具体的なターゲットを策定した。昨今では、国内でも東京をはじめとする各地でSDGs達成に向けたイベントや取り組みがさまざま実施されている。実は新潟もSDGs達成に向けた先端的な取り組みをしている県なのだ。
若手経営者らが集う一般社団法人新潟青年会議所(新潟市中央区)は、「新潟SDGs委員会」を設置した。会の設置など主導をしたのは、同会議所の五十嵐悠介理事長だ。アメリカの視察時に現地で日本の小中学生が、SDGsの達成に向けた策をプレゼンテーションしている姿を見て感銘を受けると同時に、「大人も達成に向けて本腰を入れて取り組む必要があるなと感じた」という。
現在は定期的に集まってSDGsの衆知を図っている。6月に実施した例会では、有機溶剤のないインキの使用や印刷電力のCO2排出ゼロなど環境負荷を減らす印刷事業を展開し、第2回ジャパンSDGsアワードのパートナーシップ賞を受賞した株式会社大川印刷(横浜市戸塚区)を招くなどして、さらなる理解度向上を図った。
五十嵐理事長は語る。「セミナーや例会で学んだことから、『うちならばこれができる』と考え、実践してもらうことが達成への近道だ」。具体的な例としては、ハウスクリーニング業を営む株式会社バウハウス(新潟市中央区)が運営する、障がい者のアート作品を街なかなどに展示する「まちごと美術館ことこと」。これは作者の創作意欲を刺激するだけでなく、作品を飾った店舗はアーティストに報酬を支払うため雇用という側面もある。
ハブ大学に認定された長岡技術科学大学
SDGsのゴール達成を推し進めるべく、中心となる「ハブ大学」に国連から認定されたのが長岡技術科学大学。同大の市坪誠教授は、楽しく学んでもらおうと「SDGs ファン・ラーニング・ブック」を作成した。英語とイラストがふんだんに盛り込まれているほか、日本語と対となる英語を書いたページも用意し、「世界の人とSDGsに関する簡単なコミュニケーションが取れるように作成した」。
市坪教授は、今後のエンジニア教育にはSDGsの理解が大事だとして研究を続けている。「ただ技術がわかるだけではなく、SDGs達成に自信の学んだ分野がどう生かせるかを発信できる人材が求められていく」。そこで、この冊子を作製した。冊子は、紙版と電子版がある。
作成には市坪教授のほか同大生や都城工業高等専門学校の生徒らが参画した。「SDGsとは何か」や「目標達成がなぜ重要か」、「課題解決に資する技術」などがイラスト付きで紹介されている。