新潟県の「村上市・胎内市沖」が再エネ海域利用法における洋上風力発電事業の「有望な区域」に選定される
経済産業省(資源エネルギー庁)および国土交通省は13日、再エネ海域利用法における洋上風力発電事業の「有望な区域」の一つに「村上市・胎内市沖」を選定した。
新潟県は、一昨年の11月に、村上市、胎内市、利害関係者、地元住民代表、国の関係機関などからなる部会を設置し、洋上風力発電の導入可能性などの検討を進めてきている。今回、有望な区域に選定されたことで、今後順調に進めば、数か月後に法定協議会を設置し、工事時期、地域振興策、漁業への影響などを協議していく。その後、協議会で合意に至った場合、促進区域への指定、事業者の公募・選定・認定、環境アセスメントの実施、建設工事、操業と進んでいくこととなる。
なお報道資料によると、協議会の開催期間はおよそ1年間。その後、協議会での合意から操業まで7〜9年程度かかる見通し。
ただ、村上市は鮭の養殖が盛んな地域で、漁業関係者から、洋上風力発電設備の設置が鮭の生態に影響を及ぼすのではないかとの懸念の声が上がっている、こうした懸念に対し県では、これまで開催してきた部会と同様に、協議会でも丁寧に検討を進めていくとしている。
一方、事業想定区域の面積は約95.5キロ平方メートルで、想定出力は40〜70万キロワット程度。このエリアで2事業者(大成建設株式会社・株式会社本間組・コスモエコパワー株式会社=最大40万キロワット、RWE Renewables Japan合同会社=最大72万キロワット)が環境影響評価を実施しているほか、事業化を目指して地元調整を始めた事業者(現時点で名前は非公表)が複数者あるという。
なお今回の指定により、これまでに「有望な区域」に選定されたのは国内12地域となり、このうち5地域が次ステップである「促進区域」に指定されているという。
◎新潟県 花角英世知事コメント
洋上風力発電の導入促進を図る再エネ海域利用法に関して、本県から「村上市・胎内市沖」の促進区域の指定を目指し、国に要望していたところ、令和3年9月13日、国から「有望な区域」として選定されました。
本県は、令和元年11月に、村上市、胎内市、利害関係者、地元住民代表、国の関係機関等からなる「新潟県洋上風力発電導入研究会 村上市・胎内市沖地域部会」を設置し、洋上風力発電の導入可能性などの検討を進めてきました。これまでの取組が評価されたものと認識しています。
今後、国及び県のほか、関係自治体や漁業関係者等の利害関係者で構成される法定協議会が設置され、「促進区域の指定」を目指して、協議が進められていくことになります。2050年のカーボンニュートラルを目指す上でも、利害関係者の皆様の合意が得られ、洋上風力発電の導入が実現することを期待しております。
◎村上市 高橋邦芳市長コメント
このたび、村上市・胎内市沖が「有望な区域」に選定されたことは、2050年のゼロカーポンシティーを目指す本市といたしましても、地球温暖化防止の取組への貢献という観点から、大きなステップであると考えています。
カーボンニユートラルの実現に向けた再生可能工ネルギーへの取組が、新たな産業の創出やこれによる雇用の創出など、地域経済の活性化につながる事業となるよう要望するとともに、近隣住民の生活環境への影響や漁業への影響などについて、今後も+分な調査や検証が行われることを要望しでまいりたいと考えております。
◎胎内市 井畑明彦市長コメント
胎内市では、これまで新潟県及び村上市とともに、市民を始め漁業関係者や期成同盟会等からの御理解も得ながら洋上風力発電施設の誘致促進に取り組んでまいりました。
この度、有望な区域として選定されたことは大変喜ばしく、今後は、促進区域に指定され、一日も早く立地が現実のものとなるよう、なお一層尽力してまいる所存であります。
国では2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きを加速化させています。
当市においては、その動きと呼応し、全市を挙げて地球温暖化対策として、再生可能エネルギー施策としての洋上風力発電の実現に向けて先進的に取り組み、持続可能なまちづくりを進めてまいりたいと思います。
【関連記事】
新潟県村上市で「村上市・胎内市沖における洋上風力発電に関するフォーラム」が開催(2020年11月14日)
https://www.niikei.jp/46291/
新潟県胎内市で「村上市・胎内市沖における洋上風力発電に関する説明会」が開催(2021年2月7日)
https://www.niikei.jp/53459/
新潟県の洋上風力発電導入に伴う環境への影響を検討する会が開催(2021年2月24日)
https://www.niikei.jp/54813/
(文・石塚健)