新潟県と株式会社スノーピーク(新潟県三条市)が包括連携協定締結、県の観光と地域活性化のためファンド組成も

新潟県の花角英世知事(写真左)とスノーピークの山井梨沙代表取締役社長(写真右)

新潟県と株式会社スノーピーク(新潟県三条市)は15日、観光振興や地域の活性化などを目的とした包括連携協定を締結した。同社が県と包括連携協定を結ぶのは、高知県、佐賀県に続き3例目となる。

スノーピークは現在、地方創生事業を積極的に展開しており、これまでにも長野県白馬村や、JR九州といった計21の自治体・企業と包括連携協定を結んできた。新潟県内では、今年7月に地元・三条市と連携協定を結んだことが記憶に新しい。

今回の新潟県との協定では、県内の自然資源とアウトドア拠点を活用することや、スノーピークの施設・イベントなどでの県産食材とジビエの利活用検討など、観光事業の増進や県の自然の活用を主軸に置いている。

新潟県の花角英世知事は「新潟は自然と食文化に魅力があると自負している。この素晴らしい資源を、世界的にファンを持つスノーピークの力を借りて、多くの人へ体験していただきたい」と話す。また、「すでに新潟市内では『やすらぎ堤』などで様々な取り組みが進んでいるが、他地域でも県が管理している施設に新しい息吹を吹き込んでもらうことを考えたい」という。

山井梨沙代表取締役社長は新潟の自然資源について「私自身、東京と新潟での2拠点生活をするなかで、新潟に帰ってきたときに豊かな自然に心が洗われる」と高く評価しつつ、今後県と協力することで「今まで地域ごとの取り組みだったものを結びつけて新しい価値を生み出すなど、県全体での自然資源の活用や、観光の発展を実現していきたい」と語った。

左から、自遊人の岩佐十良代表取締役、新潟ベンチャーキャピタルの永瀬俊彦代表取締役社長、スノーピークの山井太代表取締役会長

また今回の協定締結後には、スノーピーク、株式会社自遊人(新潟県南魚沼市)、新潟ベンチャーキャピタル株式会社(新潟市中央区)の3社が合弁で、「観光ファンド」を組成・運営する株式会社新潟デザイン&キャピタルを設立することを発表。

観光のポテンシャルのある土地へ投資し、宿泊施設とそれを保有する会社(SPC)を設立。自遊人へ運営などの業務を委託し、スノーピークもブランディングなどの面で関わることで、地域の活性化と不動産価値向上を実現する。

その後、不動産を地元の有力者や企業などへ売却(自遊人とスノーピークによる運営やブランディングは継続)することで資金を回収するが、新潟ベンチャーキャピタルの永瀬俊彦代表取締役社長は「海外の投資家などに売却して回収するということはよくあるが、我々は新潟のための資産を地元・新潟の人に保有してもらいたいと考えている」と強調する。

また、前述の新潟県とスノーピークの包括連携協定にも関わり、県行政や地域の自治体との官民連携も特徴だ。

まずは「佐渡」「上越妙高」「越後湯沢・浦佐」3つのエリアでの投資を検討しており、県内複数の地点を周遊できる観光で他県の観光地との差別化も狙うようだ。第1号案件は、年内発表を目指して進められている。

 

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(文・鈴木琢真)

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