新潟県が第1回新潟県産農林水産物輸出拡大検討委員会を開催、年度内に輸出拡大実行プランを策定
新潟県は15日、第1回新潟県産農林水産物輸出拡大検討委員会を開催した。
この委員会は、「新潟県産農林水産物輸出拡大実行プラン」を策定するために設置したもの。
メンバーは、ジェトロ新潟貿易情報センターの荏原昌所長、事業創造大学院大学の富山栄子副学長、環日本海経済研究所の新井洋史主任研究員、JA全農にいがた米穀部の風間秀樹部長、株式会社新潟クボタ米穀・肥料事業部の小林岳洋事業部長(株式会社新潟農商代表取締役社長)、JA全農にいがた園芸部の神林正浩部長、全日本錦鯉振興会の平澤久司理事長(丸堂養鯉場)、ヤマト運輸株式会社法人事業本部長岡ソリューション支店の藤倉雅典営業マネージャー、流通経済研究所の農業・環境・地域部門の折笠俊輔部門長(主席研究員)、イオン株式会社ASEAN推進チームの片山忠史MD グループリーダー、愛宕商事株式会社の渡部智明取締役会長(新潟シンガポール協会会長)。
座長には荏原が選任された。
県では、県の最上位計画にあたる県総合計画を平成31年3月に改定し、県産農産物輸出の「達成目標(令和2年度10億円、令和6年度20億円、なお令和2年の錦鯉を含まない輸出実績は11億2,000万円)」、「品目別目標額」、「ターゲット国」などを設定したが、これから策定する実行プランにはは、輸出拡大をするための戦略的な取り組みを県レベルで可能な範囲で記載するという。年度内の策定を目指す。
一方、日本国内や新潟県内の農作物マーケットは縮小している半面、農林水産物および食品の輸出額は、2013年の「和食のユネスコ無形文化遺産登録」や海外の日本レストラン急増(2017年11.8万店、2019年15.6万店)などを追い風に、国・県とも右肩上がりで伸びている。
例えば、令和2年の県産米輸出は平成24年の8.5倍に拡大しているほか、錦鯉発祥の地で養鯉技術が高い県産錦鯉の輸出(令和元年)も平成24年と比べて1.8倍に拡大している。
さらに国では農作物輸出促進に向けた法律を策定するとともに、令和7年に2兆円、令和12年に5兆円の輸出目標額を掲げているという。
こうしたなか、すでに県ではプラン策定に向けて今年6月から7月にかけて関係者のヒアリングを実施し、実行プランの中で支援する品目として、すでに輸出実績が大きい米(令和2年度の輸出実績10億600万円)、錦鯉(同26億1,900万円)の2品目を「重点品目(仮称)」、輸出ルート確立に向けてトライアル段階にある、切り花(同300万円)、ぶどう(同20万円)、もも(同30万円)、いちご(同10万円)、かき(同270万円)、なし(同200万円)、ル レクチェ(同20万円)、牛肉(同3540万円)、鶏肉(同6,300万円)の7品目を「チャレンジ品目(仮称)」に選定。
今後は、この委員会および、米と錦鯉の輸出拡大に向けた具体策を検討・推進していく「専門会議(今年9月にスタート予定)」が中心にとなり実行プラン(戦略)をまとめていく予定だ。
なお具体的な戦略としては、大手流通会社や航空会社グループとの連携、旅行商品の販売(食文化・農業体験、酒蔵ツーリズムなど)、HACCPやGAP認証取得支援などを想定している。
(文・石塚健)