連載 第7回 新潟出身の起業家たち 株式会社meleap CEO 福田浩士氏
AR技術を使ったスポーツ「HADO」を世界各国で提供
頭にヘッドマウントディスプレー、腕にアームセンサーを装着し、エナジーボールで相手のライフ(羽根)を壊して争う、AR技術を使ったスポーツ「HADO」。このテクノスポーツを体験できる施設が9月1日までの期間限定だが新潟市中央区の万代に登場した。
このARスポーツを提供するのは、株式会社meleap(東京都千代田区)。現在、国内外25か国に55拠点(うち国外が45)を展開している。そのほとんどがフランチャイズもしくは代理店契約での展開という。ただ、積極的に世界中で営業を行ったわけではなく、「フェイスブック、ツイッターを使って英語などで保情報を発信していたところ、世界各国から問い合わせをもらい、世界各国で展開するようになった」と福田浩士CEOは話す。2016年から世界選手権大会を毎年開催しており、各国の予選を勝ち抜いた「精鋭たち」が世界ナンバー1を目指して激戦を繰り広げている。
また常設の施設だけでなく、「商業施設やイベントの集客コンテンツ、社内交流会などに期間限定で提供することもある」(福田CEO)。
一方、昨年11月付のプレスリリースによると、関連事業としてコンテンツビジネスにも力を入れている。例えば今年に入りHADOの番組「HADO BEAST COLOSSEUM」をスタートした。強豪プレーヤー「ビースト」と一般参加者「チャレンジャー」が、懸賞金をかけて番組特別ルールで戦うという。
今後も新たな事業を相次いで打つ出す計画で、HADOとまったく異なるジャンルのARスポーツを今秋にもリリースするほか、プロリーグ立ち上げの構想もあるようだ。
2016年にHADOの第一弾をリリース
CEOの福田氏は新潟市の出身。厳密にいえば起業という目標とは異なるが、以前から「仲間とチームを作って何かに挑戦していきたい」という思いがあったという。そんな思いもあって、東京大学院に在学中に事業(現在とは別の事業)を始めたり、(起業家を数多く輩出する)リクルートに入社して経験を積んだりした。
そして2014年1月にmeleapを設立。当時にARに注目が集まり始めていたこともあり、子供のころに憧れていたドラゴンボールの悟空が放つ「かめはめ波」を現在の技術で実現しようと、同年8月に友人とHADOのプロトタイプ作りに着手した。1か月後の9月には、スタートアップを支援するための施設「KDDIムゲンラボ」に入居した。ここでは、6か月間無料でスペースを利用できたほか、スマホも使いたい放題だった。さらにメンターがいて大企業とのマッチングを行ってくれたという。
翌2015年10月にはmeleapの事業に興味を抱いた先方からの問い合わせがきっかけとなり、株式会社ポニーキャニオンから6000万円の資金を調達し、開発に弾みをつけることができた。そして2016年10月、HADOの第一弾をリリースした。その直後には国内だけでなく、中国・上海に拠点ができたという。
現在、同社の従業員数は約40名(開発4割、営業3割、バックオフィス3割)。今後のさらなる成長が期待できる注目の会社の一つといえる。