合言葉は「新潟をカレー県に!」 続々と新たな展開を見せる新潟のカレー事情
新潟のカレー消費量は全国トップクラス
キリンビバレッジ(株)、ハウス食品(株)、味の素(株)、JA全農にいがた、新潟県漬物工業協同組合の5者が実行委員となり、「新潟米×カレーでGO!!プロジェクト」が5月27日発足した。新潟食材の消費拡大を図るこの取り組みは、昨年スタートした新潟県の事業「ごはんでGO!!新潟米を食べようキャンペーン」をルーツとしているが、今回のカレー事業は民間主導のプロジェクトとなっている。
新潟県の後援事業にも指定されており、新潟県庁農林水産部食品・流通課の阿部渉課長補佐も「新潟産のお米をはじめ、農林水産物の消費の拡大につながるプロジェクトであり、民間企業との連携が図れることは頼もしい」と期待を寄せている。
この日の記者発表会では、県産野菜と新之助を取り入れたカレーが振る舞われ、新潟県のゆるキャラ・日本元祖スキー漢(おとこ)レルヒさんがカレー名誉顧問に任命された。
今秋にはイベントなども企画されている。
同プロジェクトの背景には、新潟市が全国で1、2位を争うカレールウの一大消費地であることが挙げられる。「新潟米×カレーでGO!!プロジェクト」でカレー大使に任命された見附市出身のカレー・スパイス料理研究家一条もんこ氏は、以前より新潟のカレールウの消費量の多さや、様々な地域の食材を取り入れられるカレーの多様性に着目し、「新潟をカレー県に!」と銘打った活動を行っている。
2018年よりホテルイタリア軒でカレーフェアを定期的に開催・監修し(現在「真夏のカレーフェア」を8月31日まで開催)、2月には「にいがたをカレー県にしよう!」というタイトルのイベントを新潟ふるさと村で開催、7月には自身が監修した佐渡汽船カレーを発表し、好評を博している。
一条氏は「これからは新しい三条のカレーラーメンの開発など、新潟のいろいろな地域の特徴を生かしたカレーを開発していきたいです。東京を拠点に活動しているので、新潟のカレーを全国に発信していくことで、カレーを通じた交流が生まれたら」と、カレーが持つ可能性の高さに期待を寄せる。
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意外?納得?カレーと合わせる日本酒
カレーそのもの以外にも、新潟とカレーの相性の良さは、さまざまな場面で見受けられる。
なかでも注目のアイテムが、「酒どころ新潟」ならではの一品。それが5年以上低温で熟成された日本酒の旨味がカレーの持つスパイシーさを丸く包み込む、苗場酒造株式会社(津南町)の「カレーに合う吟醸良寛熟成酒 H24BY」だ。
辛口ながら熟成したことで口に含んだ時にやや甘みが感じられる風味が特徴で、これまでに「土浦カレーフェスティバル」「東京ご当地レトルトカレーフェスティバル」「カレーと合う日本酒試飲会(新潟市)」などで提供したところ、斬新な組み合わせに最初は来場者の中に戸惑いも見られたが、実際に味わってもらうことで高い評価を獲得。
商品開発を担当した松本英資氏は「イベントではリピーターになってくださる方も現れたので、さらに認知を上げていければ。タイ、香港、台湾などカレーがある国への海外展開も探っていきたい」と意気込みを語る。
素材、酒、カトラリー――。カレー関連商品も豊富
1973年から提供され、新潟のご当地グルメとしても有名な「バスセンターのカレー」、県内各地で栽培されているカレー専用米「華麗米」、三条市におけるカレーに用いられるスパイス・ウコン(ターメリック)の栽培、山崎金属工業株式会社(燕市)が開発したカレーのうまさを最大限に引き出すスプーン「カレー賢人」など、産業を横断してカレーの話題が豊富な新潟県。
新潟の冬の風物詩「にいがた食の陣 当日座」では、今年開港150周年を記念して函館、横浜、神戸、長崎、新潟のカレーを食べられる「華麗なる開港5港のカレー」コーナーを設けたが早々に完売。様々な形でカレー愛をのぞかせる新潟で、国民食であるカレーが今後どのような発展を遂げ、全国にその轟かせていくのか注目だ。