新潟県内でも「脱プラスチック」に向けた動きが加速
使い捨てプラスチックごみによる海洋汚染が社会問題化するなか、「脱プラスチック」に向けた動きが急速に進展を見せている。
今年2月、環境省の諮問機関である中央環境審議会が使い捨てプラスチックの削減戦略案の一つとして、小売店で配られるレジ袋の有料化を2020年度以降に義務化する方針を明らかにし、原田義昭環境相も有料化に関する法律を早期に整備する考えを打ち出した。こうした動きを受け、新潟県内の企業や飲食店でも関心が高まっている。
大手企業ではセブン&アイ・ホールディングスが30年までにプラスチック製レジ袋の使用量をゼロとすると公表。
コーヒーチェーン大手のスターバックスコーヒージャパンは、20年半ばまでに使い捨てプラスチック製ストローを撤廃して代替製品に切り替えるとしており、すでに一部では繰り返し使えるストローの販売もしている。
すかいらーくグループは18年12月より、全国のガストで、ドリンクバーに常備しているプラスチック製ストローを廃止。
要望があった場合には、トウモロコシ原料の生分解性のバイオマスストローを提供している。
南魚沼市がごみ袋刷新
米どころのごみ袋は、米由来の製品で――。こんな取り組みで注目されるのは、 米の有力産地の南魚沼市だ。市指定ごみ袋にバイオマスプラスチックを活用することを決定した。同市に構えるバイオマスレジン南魚沼の協力で、米(非食米)由来の「ライスフィルム10」を採用する。
南魚沼市(六日町地域・塩沢地域)・湯沢町の指定ごみ袋の全ての種類で対応し、19年度下期の製造分から実施し、順次指定袋取扱店へ供給する。
今年5月11日から12日に新潟市で開催されたG20新潟農業大臣会合では、バイオマスレジン南魚沼のお米のプラスチック(ライスレジン)を使用した「お米のお箸」が各大臣に配布されており、同社の事業は注目が高まっている。
ものづくりの街・燕市でも脱プラを好機につなげる動きがある。金属加工会社・関川鋼販はアルミ製ストローを製造。
洗って繰り返し使える「マイストロー」としてエコに関心の高い客層などに対して販売を伸ばしている。
片力商事も、燕市がロケ地となったTBSテレビ「下町ロケット」とコラボレーションしたアルミストローを販売した。
三条市の燕三条駅観光物産センター「燕三条Wing」では7月13から14日、金属製ストローを販売。
エコを考えてもらおうと、金属製ストローのコーナーを設けて販売した。
飲食店でも脱プラの動きが広がる
i飲食店でも脱プラの動きが広がってきた。
柏崎市の喫茶店・etcetera(エトセトラ)では、18年7月から笹の茎を使ったストローを使用し、19年7月からは、麦わらのストローも使用している。
店主の阿部由美子さんは「お客さんからは好意的に受け止められている。プラスチックは少なくしたほうがいい、ナチュラルさも出ていいと言われることが多い」と話す。
上越市藤塚の「お蕎麦 慶」と同市藤巻の「そばかつ慶兆」の系列2店舗は、これまで使用していたプラスチック製のスプーンやストロー、フォークなどを廃止、水に溶ける紙製などに切り替えた。
個人店など飲食店では、木のスプーンを使用する動きも広がっている。
スーパーマーケット大手のアクシアルリテイリングでは、容器包装プラスチックに過剰な使用がないかを、長期に渡って見直しを進めてきており、より軽量なものや環境に配慮したものへの切り替えを進めている。
一方、新潟県内ではプラスチック関連の製造業や工場も複数存在している。
「脱プラの動きが企業の業績にどの程度影響してくるか、注視していきたい」(取引企業)との声も聞かれている。