新潟でも密かに広がるボードゲーム 魅力は卓を囲んだコミュニケーション
テレビゲームやスマートフォンアプリといったデジタルゲームの隆盛が目立つなか、実物の駒やカードを使って遊ぶアナログなボードゲームが密かに流行している。近年、全国でボードゲームを体験できるスペースが増えてきた。そこで、新潟市でボードゲームを取り扱う店の店主2人にその魅力を伺ったところ、テーブルを囲んだ「参加者同士のコミュニケーション」が一番に挙がった。
相手と協力する楽しみ
2017年にオープンした県内初のボードゲームカフェ「Cafe Questa」(新潟市中央区)は650種類以上もの世界のボードゲームを体験できる。大きめのテーブルを備えた広い空間と店外から中の様子が見えるガラス張りで、初心者も入りやすい店になっている。代表の遠藤栄昭氏は「ボードゲームは協力してひとつの世界を作り上げる楽しみがある」と語る。デジタルゲームと違い、駒を移動させたりカードをめくったりする作業は全て人の手で行う。「そのゲーム限りで新たなルールを設けてもいい。相手によって展開が変わるのは魅力」(遠藤氏)。
思い出に残る出来事があった。知り合いの紹介で英語圏の人と一緒に「カタン」をプレイすることになった。「カタン」はサイコロを使い、資源を得ながら土地を開拓するゲームで、資源を交換するためプレイヤー同士の交渉がある。最初は英語がわからず緊張したが、ゲームに勝つために知っている単語や身振り手振りをフル活用して懸命に交渉する様子が笑いを呼び、大いに盛り上がった。「ゲームという共通言語があるので、知らない人とも輪ができる」と遠藤氏は笑う。
相手のキャラクターが見えてくる
遊びとおもちゃの専門店「krtek(クルテク)」(新潟市中央区)は、店主の横山智香氏が選りすぐった世界のカラフルな玩具やボードゲームが店中に広がる。横山氏は2004年のオープン以来、新潟のボードゲーム人口の増加を肌で感じている。「従前のローカルコミュニティによる口コミに加えて、近年は動画配信などネットを使った発信が増えたことも要因では」(横山氏)と分析する。
ボードゲームの魅力について「お互いのキャラクターが見えてくる」(同)という点を強調した。ゲームが進むにつれて、話が面白かったり、記憶力が高かったりと、様々な相手の長所がわかってくる。性格もプレイに表れる。「大人しそうな人が意外と積極的に攻めてくる」(同)など、友達の新しい一面を発見することも。
相手と顔を合わせてじっくりコミュニケーションがとれるのはボードゲームの大きな魅力。取り扱う店に立ち寄り友人と楽しむほか、ボードゲームサークルなどで気軽に体験できる。