新潟大学(新潟市西区)と福井大学が、大雪時の立ち往生に繋がるスタック車両の発生メカニズムを解明
新潟大学(新潟市西区)災害・復興科学研究所の河島克久教授と福井大学(福井県福井市)工学部の藤本明宏准教授は30日、大雪時の大規模な立ち往生に繋がる、スタック車両発生メカニズムについての研究成果を発表した。
新潟・福井両県を走る北陸道と国道8号では、大雪による交通障害が度々発生しており、特に1月上旬、数日間に渡って発生した北陸道福井県内の立ち往生が記憶に新しい。
こうした直近の事例に加え、2011年や2018年の大雪による立ち往生の発端の多くは、雪の中にタイヤがはまり脱出できなくなる「スタック」によるものだと特定されているものの、河島教授は「その発生のメカニズムについては『雪は滑りやすいから』という理解のみで、正確なところは解明されていなかった」と話す。
河島教授と藤本准教授らの研究グループでは、平時の降雪に比べて大雪時にスタック車両が発生しやすい点に着目。1月に大雪で立ち往生した国道8号の踏査や、実際にトラックがスタックにはまった状況を作る実験などを通じ、凹凸の激しい圧雪路面が形成される仕組みと、スタック発生のメカニズムについて研究した。
藤本准教授によると、車両を圧雪路面上に停車させた際、タイヤの荷重と熱によって圧雪の中にタイヤが沈み込み、窪みが生まれるという。さらに、この中でタイヤが空転することで窪みが深刻化。大雪時は降雪や視界の悪化などの影響もあり、多くの車両が停車と発進を繰り返すことから、この窪みの発生と拡大が「負の循環」として路面の凹凸を悪化させていく。
こうした仕組みから、降雪量が少ない場合には窪みは舗装面に達するため深刻化しないことも判明。「厚い圧雪を発生させないための予防的通行止めと集中除雪。また、広域迂回や車移動の自粛など、圧雪上で渋滞を回避して窪みを発生させないことが、立ち往生の有効な対策となる」(河島教授)という。
研究グループでは今後、大型車でスタックが発生しやすい原因や、チェーン装備によるスタックへの有効性を実車を使って検証していくほか、大雪時の立ち往生の危険度の予測モデルの開発を目指していく。