新潟大学の日本酒、山梨大学のワイン、鹿児島大学の焼酎に関する研究を連携させる学術ネットワークが始動
新潟大学日本酒学センター(新潟市西区)、山梨大学大学院総合研究部付属ワイン科学研究センター(山梨県甲府市)、鹿児島大学農学部付属焼酎・発酵学教育研究センター(鹿児島県鹿児島市)は30日、酒類にかかる教育や研究、産学連携などの取り組みに関して協力するための連携協定を締結した。
新潟大学では2017年5月、新潟県や新潟県酒造組合と「日本酒学」の構築と発展のために連携協定を締結。以後、「日本酒」というテーマを軸に、酒の製造などの化学的な視点だけではなく、文化面や医学面など、同大学が擁する全学部からアプローチできる学際的な取り組みとして日本酒学を展開している。
日本酒学センターの前身となる新潟大学農学部などが日本酒学を構築するにあたって、酒類研究の先駆的存在である山梨大学と鹿児島大学を視察しており、以後も個別の交流は行われていた。今回の協定は、今年4月に日本酒学センターがキャンパス内に開所し、取り組みが本格化するなかで提案されたものだという。
日本酒学センターの鈴木一史センター長は「鹿児島大学では社会人向けの講座などを開くなど、先駆的な取り組みを展開している。まだ開所して間もない我々としては、研究はもちろん、将来の活動の広がりも考えて、他大学の様々な活動から学ばせていただきたい」と話した。
締結式に参加した新潟県酒造組合の大平俊治会長は「日本酒は日本食とセットで『珍しいもの』として海外でブームになっているが、これからはバックボーンとなる日本文化や歴史などを持っていないと海外で戦っていけない」と話す。そして「これまで日本酒学は県内に止まっていたため『新潟のもの』という印象が強かった。今回の県外大学との協力から、酒の種類に関わらずさらに多くの研究機関や酒蔵などとの連携が進み、(日本全体で)世界に出ていくための良いきっかけになった」と期待を込めた。
協定締結後初めての取り組みとしては、11月25日に新潟大学付属図書館で、各大学の取り組みや研究の動向をテーマにしたシンポジウムを開く予定である。
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