新潟国際情報大学(新潟市西区)で、拉致被害者の蓮池薫さんを前に学生たちが北朝鮮に関する研究を発表
新潟県は5日、新潟国際情報大学(新潟市西区)で「拉致問題啓発セミナー」を開催した。県では今年度、同大学で拉致問題に関する連続セミナーを実施しており、今回は参加学生による研究発表や、蓮池薫さんを交えたシンポジウムを実施した。
これまで国際情報大学では、蓮池さんや横田さんを招いた拉致問題啓発セミナーを開催してきたが、今回は学生たちが、セミナーを通して得た知見から拉致や北朝鮮を研究し、その成果を発表した。
発表の中で学生たちは、植民地政策など戦前まで遡る日本・朝鮮間に横たわる課題や、核問題にも触れつつ拉致が多国の利権が関わる問題に複雑化していることなどに言及。さらに、形式化したメディアの報道だけではなく、講演会を通して北朝鮮の一般市民の生活の実態などを広めることの必要性についても語った。
学生の発表後には蓮池さんが登壇。「学生たちから多角的な話題が多く出た。一生懸命に自分のこととして考えてくれていることが嬉しい」と話す。
また多くの学生が「北朝鮮の一般の人々は、拉致に関わった指導部上層部とは関係のない、普通の人々であることをこれまでのセミナーで知った」と口にしたことから、「国民と指導部を分けて考えて欲しい。私は拉致問題の『継承』ではなく、早期解決を望んでいる。拉致問題を取り上げて、北朝鮮へ政治的な攻撃をしていくような必要がない社会を目指したい」とシンポジウムの中で学生へ呼びかけた。
一方、岸田文雄新政権への期待を問われた蓮池さんは「かつて外務大臣を務め、難しい問題である慰安婦問題の日韓合意へ至ったことから、粘り強さがあると思っている。アメリカにすべてを任せるのではなく、中国・ロシアといった外堀を埋めつつ日朝首脳会議を実現する日本独自の外交姿勢が必要になるので、それができる人だと期待したい」と答えた。
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