鳥居家所蔵50点を村上市郷土資料館に寄付 直筆の辞世、最期の茶碗など
調査終了後は一般公開も予定
戊辰戦争で奥羽越列藩同盟に参加して新政府軍と戦い戦後、村上藩の責任を一身に背負って切腹した鳥居三十郎の遺品や鳥居家伝来の古文書など一式をこのほど、鳥居家が村上市郷土資料館に寄付した。村上市にとって貴重な品々は調査終了後、11月頃に一般公開を予定している。
東京都に住む鳥居三十郎の子孫が先月31日、村上市郷土資料館を訪れ、これまで所蔵してきた品々約50点を寄付。鳥居家に三十郎以前から伝わる品や、三十郎の婿養子であった鳥居二郎関係の品々なども含まれている。
甲冑一式について同館の佐藤耕太郎館長は「鳥居家の家紋が描かれた木製の鎧櫃(よろいびつ)に納められており、江戸期に制作されたものと思われ、兜だけは、江戸初期または、安土桃山時代にまでさかのぼる可能性がある」と話す。兜の前面には鳥居家の裏門である「丸に九枚笹」が描かれており、兜以外には裏に麻布が充てられ、鹿皮で縁取りするなど丁寧な補修がされ、戊辰戦争前に補修されたのではないかと想像される。また、鎧櫃には珍しい「采配」と鳥居家の屋敷神であった「安政」「嘉永」の年号が記された「秋葉大権現」の幟旗も入っている。
三十郎が切腹の儀式を前に煎茶を服した「煎茶茶碗」もあり、「大切な品、永楽茶碗、三十郎最後の品」と添え書きが付いている。
扇面に記された三十郎直筆の辞世もあり、佐藤館長は「短冊ではないことから、切腹の儀式の中で認められた辞世ではなく、切腹以前のものとされる。また、切腹を実行した塩町の安泰寺には、切腹の前に訪れた多くの知人友人に差し上げ『述懐』をしたためた短冊を多数用意したと思われ、同じ短冊が数枚残っていることから切腹の前に訪れた多くの知人友人に差し上げたことが想像できる」と話していた。
村上新聞2019年5月15日号