新潟市北区で、新潟水俣病シンポジウムが開催される
「ミナマタはまだ終っていない」
新潟水俣共闘会議と新潟水俣病阿賀野患者会は14日、新潟市北区の新潟水俣資料館で、「新潟水俣病シンポジウム」を開催した。
開会にあたり、長岡市や柏崎市のメンバー4人のバンドグループ「ウィズコーション」が、水俣病の被害者応援歌4曲を披露した。
続けて、中村洋二郎・新潟水俣病共闘会議議長が開会挨拶を行い、新潟水俣病第5次訴訟が長期化する可能性を取り上げ、「ノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟(新潟水俣病第5次訴訟 )は掛け値なしにヤマ場を迎えている。結審を見通せないのではなく、見通させなければならない」と意気込みを語った。
また、味岡申宰・新潟水俣病弁護団事務局長が、新潟水俣病第5次訴訟に関して、「新潟水俣病を発生させたことに関し、国の責任を認めさせる条件が揃ってきている」としつつも、「被告らの責任立証には、①:原告らがメチル水銀の曝露(水銀を含んだ魚を食べる)を受けたこと、②:原告らが四肢末梢性や全身性の感覚障害が認められること、③:①により②が起きたとの因果関係があること、以上の3つの立証が求められる」と解説、原告側と被告側の主張に、いずれの点でも隔たりがあることに触れていた。
長年、新潟水俣病被害者の診察に携わってきた関川智子医師は、水俣病被害者の症状について解説する中で、「被害者の方々の高齢化が進み、所見そのものを取ることが難しくなっている。最近、診察している中で、もっと早くに診察に来ていただいていれば、との思いが強くなっている」と、医療現場からの思いを語っていた。
このほか、阿賀野患者会会員らの50年前の食生活について、皆川榮一・原告団長が、当時の食事を再現した写真を用いて説明を行った。
この後、阿賀野川中流域の被害者分布状況や同流域の一部地域で行われた社会学的疫学研究の報告が行われた。
最後に、中村周而・新潟水俣病弁護団団長が「被害者の皆さんが生きているうちに救済されることが重要だ。そのためには、分離判決も視野に入れる。さらには、その判決が全員の救済につながる、そのような内容を出してもらうようにする。ミナマタはまだ終っていない。これからも全国の皆さんと一緒にやってきたい」と締めくくった。