INPEX長岡鉱場(新潟県長岡市)から回収されたCO2を利用し、合成メタンを生成する実証実験を発表

INPEXの報道資料より

株式会社INPEX(東京都港区)と大阪ガス株式会社(大阪府大阪市)は15日、INPEXが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構から採択された助成事業のもと、ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2-メタネーションシステムの実用化を目指した技術開発事業を開始する。同事業の実証は、INPEX長岡鉱場(新潟県長岡市)越路原プラントに接続して行われる予定である。

「メタネーション」とは、触媒を介して二酸化炭素と水素を反応させ、都市ガスの主成分であるメタンを生成する方法。二酸化炭素とグリーン水素(再生可能エネルギーで生成した水素)から合成メタンを製造することで、都市ガスのカーボンニュートラル化が実現できるという。

INPEX長岡鉱場では天然ガスを採取・生成しており、その際に生まれる二酸化炭素は現在、指定の処理を施したのちに廃棄されるか、もしくはドライアイスの生成に利用されている。今回はこの二酸化炭素の新たな使い道として、合成メタンを製造する実証実験を2024年度後半から2025年度にかけて実施。さらにそれとともに、製造した合成メタンを同社の都市ガスパイプラインへ注入する予定である。なお、同事業で開発するCO2-メタネーション設備の合成メタン製造能力は約400Nm3/hを予定しており、これは現時点で世界最大級の規模になる。

INPEXは2017年から、長岡鉱場で合成メタン製造能力8Nm3/hでのCO2-メタネーション基盤技術開発を行っており、その経験を活かし、事業全体の取りまとめや設備のオペレーションを担う。一方大阪ガスは、石油系原料を用いて都市ガスや代替天然ガスを製造していたころから培った、省エネルギーで合成メタンを製造できる触媒技術や、スケールアップに関する設計ノウハウなどのエンジニアリング力を活用し、CO2-メタネーション設備の設計とプロセスの最適化を担う。

またINPEXは、長岡鉱場での実証実験と並行して、オーストラリアなどの再エネ由来によるグリーン水素製造が安価で行える国でCO2-メタネーションを行い、日本へカーボンニュートラルメタンを輸入する事業性評価や、CO2-メタネーションを国外で実施した際の環境価値の国内移転に向けた制度検討なども実施していくとしている。将来的には、海外で商用規模(10,000Nm3/h)での実証事業を行い、更に60,000Nm3/h規模での商用化を視野に入れて取り組んでいきたいという。

(文・鈴木琢真)

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