新潟市のイタリアンレストラン「ノラ・クチーナ」が、長く働ける職場づくりを推進中

トラットリア ノラ・クチーナ豊栄本店

働き方改革で飲食業界に対するイメージを払しょく

新潟市にあるイタリアンレストラン「Nora Cucina」(ノラ・クチーナ)。「Nora」(野良)のCucina(ごちそう)という名前の通り、豊栄の畑や田んぼで営まれる農業から生み出される野菜をつかった料理を提供したいという想いから生まれた。

特に、出荷量県内トップクラスのトマトやナスなど、地元の食材の魅力に触れられるお店だ。そんなノラ・クチーナだが、実は料理へのこだわりと同じくらいに、働くスタッフを大切にしている店でもある。2013年頃から、人材確保や定着率向上のため、これまでの飲食店に対するイメージを払しょくし、福利厚生を充実させる働き方改革に乗り出した。目指したのは、「安心して長く働ける職場」だ。

来店者を笑顔で出迎える女性スタッフ

飲食業界へのイメージを払しょく

山田秀行社長が働き方改革に乗り出したきっかけは、事業が拡大しスタッフが増えてきたため。もともと家業の飲食店を受け継いだが事業を拡大し、現在はノラ・クチーナを含む4つの飲食店を経営。正社員・パートを合わせて73人のスタッフが働いている。

事業をさらに発展させるためには従業員満足度を高め、優秀な人材の確保とスタッフの定着率を高めることが不可欠。それには大前提として、多くの人が持つ飲食業に対する固定概念を取り払う必要があると考えた。山田社長は「飲食店はお客の多い休日は絶対に休めないとか、待遇が不安定で家族を養えないとか、結婚したら退職しないといけないとか、『飲食業界に福利厚生がないのは当たり前』といったイメージを、働く人に持ってほしくなかった」と当時を語る。

働き方改革で最初に取り組んだことは、休暇制度の見直しだ。ノラ・クチーナでは来店者の9割以上が女性で、接客するスタッフも約7割が女性という女性中心の現場。そのため女性が働き続けられるよう最初に産休・育休制度を整えた。これまでに2人が制度を利用し職場復帰した実績がある。

また、店が繁盛する祝日であっても、できるだけ休暇が取れるよう他店舗からヘルプを呼べる仕組みをつくるなど人員に余裕を持たせた。「旅行などで休暇を取りスタッフの家族から理解を得られることも、長く働く上で非常に大切」との思いがあるからだ。

機械導入で業務効率化進む

真空調理機と冷蔵室の2つの設備を新たに導入し、業務効率化を図った。ノラ・クチーナはテイクアウトメニューも充実しており、祝祭日に目がけて大量に注文が入る。そのため、これまでは前日から一気に業務量が跳ね上がり、日付が変わるまで残業が続くこともざらにあったという。

全店に導入した業務用真空調理機(写真の人物は山田秀行社長)

冷蔵室を新設したことで長期保存が可能になり、仕込み作業を閑散期に進めることができるようになった。また、真空調理機により大量の調理作業が効率よくできるようになった。結果として残業の大幅減に成功した。

店舗の裏側に冷蔵室を設けた

働き方改革により様々な面で従業員満足度が高まっている。長く働き続けられるという安心感から、新築住宅や自動車を購入するスタッフが増加。2019年に入ってからは4人のスタッフが結婚するなど好影響が続いている。定期的に求人を出しているが応募件数も以前よりかなり増加した。事業拡大の観点から、現在は特にお店のリーダーとなれる中堅の飲食・接客業の経験者を歓迎している。

今後も働き方改革を継続していく考え。目下は既存の休暇制度の利用率を高めるためスタッフへの周知を徹底し、平均年間休日数を増やしていく方針だ。

新人スタッフも活躍の場は多い

【トラットリア ノラ・クチーナ】
豊栄本店

住所/新潟市北区葛塚市場通り3223
電話/025-387-5200
サイト/http://www.noracucina.com/
新潟鐙店
住所/新潟市中央区南笹口1-2-19
電話/025-282-5122
サイト/https://noracucina-abumi.com/

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