新潟市で燃料電池バス「SORA」の試乗会
水素を燃料にして走る燃料電池(FCV)車の普及に取り組む新潟県は20日、トヨタ自動車と日野自動車が開発し、昨年トヨタが販売を始めた燃料電池バス「SORA」の報道機関向け試乗会を行った。
新潟駅南口バス乗り場を出発し、マリンピア日本海に立ち寄った後、日本水素ステーションネットワーク合同会社と岩谷産業株式会社が今年4月、新潟市中央区にオープンした水素ステーション「イワタニ水素ステーション新潟中央」で水素を充てんした。
なおSORAは今月22日に万代シテイで開催される「バスまつり2019」で展示される。また27~29日には県民を対象にした試乗会が行われるほか、10月1日にはバス事業者向け試乗会も行われるという。
燃料電池車に普及に取り組む新潟県
新潟県では昨年度、県内外の関係者で構成する「新潟県水素エネルギー普及研究会」を3回開催し、水素エネルギーの利活用に係る提言をまとめた。その後、今年3月に、その提言などを取りまとめた報告書を作成している。
その報告書の中には、燃料電池バス(FCバス)の試乗会開催(今秋)、FCVタクシーの実証運用支援(今年度)、水素ステーションの完成時期にあわせて県および市で燃料電池自動車(FCV)を率先導入することが盛り込まれていた。
それを受けて、今年4月、「イワタニ水素ステーション新潟中央」の開設に合わせて、本田技研工業のFC車「CLARITY FUEL CELL(クラリティフューエルセル)」を導入している。また、このたびのFCバスの試乗会が行われた。
さらに、今年度に入り、「第2回小型燃料電池バス導入検討会議」を定期的に開催しており、県内企業などによる小型FCバスの開発・製造の可能性を検討している。
究極のエコカー
FC(燃料電池)車は、水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、モーターを動かす仕組みで、二酸化炭素を排出しない「究極のエコカー」として注目を集めている。エンジン音もなく、乗り心地も快適だ。
また移動式の発電機にもなり、停電時には、避難所となった体育館や公共施設などの非常電源として使用できる利点もある。
そのFCバスであるSORAは、現在、都営で数台導入されているほか、来年の東京オリパラでかなりの台数を走行させる計画があるという。ただ、一般バスが2000~3000万円/台、新潟市内にも走る連節バスが7000~8000万円/台に対し、SORAは約1億円/台と、価格が導入普及のボトルネックとなっている。そのため、トヨタでは、全国各地の自治体をまわり、普及啓発のためにsoraを展示したり、試乗会などを行ったりしている。先週は大阪で普及啓発の活動を行ってきたほか、新潟の次は徳島に向かうそうだ。
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