新潟市職員労働組合の50代女性職員が預金口座から不正に現金を引き出し3,000万円以上を着服
新潟市職員労働組合(市職労)が18日、新潟市内で記者会見を行ない、同組合に勤務する職員(書記)による不正行為があったと発表した。
市職労は市役所並びに市民病院、水道局など、地方公務員を主体とした組合員で構成する職員組合および労働組合の混合組織で、その社会的立場や影響力を鑑み、会見を行なった。
不正行為を行なったのは、市職労に30年以上勤務する50代女性の書記(市職労正規職員)。
調査によると、2012年ころから2021年7月ころまでの間、担当する業務に関わる複数の預金口座から、繰り返し不正に現金を引き出すなどして着服し、市職労に損害を与えたもの。
2021年7月、当該書記の担当する補助機関(職種や職域ごとに協議会や部会などの名称で構成する下部組織)の決算書類と通帳残高が相違していたため、通帳を管理していた当該職員に確認したところ、補助機関の預金口座から不正に現金を引き出し着服していたことに加え余罪についても認めたため、この事案が発覚した。
着服額は、現在把握しているだけで少なくとも3,000万円以上にのぼると見られる。また、現金を引き出した回数についても数回程度ではなく、常習的に行われていた可能性が高いという。なお、2012年以前の取引については金融機関にデータが存在しないため、調査が難しいとした。
2012年から約9年にわたり不正が発覚しなかったことについて、市職労の山口輝一書記長は「当該職員が管理していた通帳は、組合員の掛け金などを一時的に預かるいわゆるトンネル口座という特殊なもので、通常は預金ゼロの状態となっている。それが発覚の遅れた要因の一つかもしれない」と話した。また、市職労では、内部決済を通ったもののみ預金口座の引き出しを行えるシステムを取っていたが、当該職員は決済書類の偽造などを行なっていた可能性もあると説明した。
当該職員の認否、不正に至った経緯や現金の使途などについては、現在第三者委員会を設置し弁護士に相談をしている最中であり、今後の対応に大きく影響する可能性があるとしてコメントを控えた。
市職労では16日に組合員などを集めて機関会議を開催。そこで参加者に今事案の経緯などを説明した。
不正行為が発覚した7月上旬以降、当該職員は自宅待機となっている。これについて山口書記長は、就業規則上のルールで、処分が下るまで待機となっており、法律上で雇用は継続中で減給等の制限もかかっていない。だが、処分決定後、待機を命じた後の給与返還なども考えられるとした。今後は就業規則に基づく懲戒委員会を設置し処分を行うほか、刑事告訴や損害賠償請求なども検討している。
決済をすり抜け多額の現金を着服されていたことについて山口書記長は「管理体制にぜい弱な部分があったのであれば改善していく。大切な組合費と共済掛金を取り戻さなければならない」と話した。