新潟県燕三条地域の「燕三条ものづくりメッセ2021」がリアルとオンラインのハイブリッドで開催
今年で8回目となる日本海側最大級の工業系見本市「燕三条ものづくりメッセ2021」が21日から22日にかけて、燕三条地場産業振興センター(新潟県三条市)で開催されている。今年はリアル出店とともにオンラインでも商談が可能な環境を整備するハイブリッド型の展示となり、燕三条を中心とした115企業・団体が出店した。
「燕三条ものづくりメッセ」は、昨年2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンラインのみでの開催となっていたが、今年は来場登録とQRコード発行による非接触入場を導入。オンラインでの商談も引き続き実施したほか、スタッフが会場を回りweb上にリアルタイムで配信するなど、対面以外も強化した。
21日の開会式に出席した新潟県産業労働部の佐野哲郎部長は、ハイブリッド開催の様子について触れ「新たにこうした『進化系』という形で開催されたことは素晴らしい。この燕三条地域は、幾多の経済環境の変化の荒波を乗り越え、創意とチャレンジ精神で成長を続けてきた地域。その心意気がこのメッセにも現れている」と評した。
コロナ禍も影響して、培ってきた技術力を用いて一般ユーザー向けの製品、特にアウトドアに関連する製品へも新たに取り組む企業も多く見られた。
HI鍋の先駆者として知られる株式会社フジノス(新潟県燕市)では、4月から展開しているアウトドア調理用具シリーズ「9W.(クオウ)」を展示。クラウドファンディングで好評を博した「モジュール式グリルプレート」は、アルミをステンレスで挟んだ構造で、鉄製と比較してメンテナンスが容易な点や、本格的な調理が可能で日常的にも利用できることなどを売り出している。
また、三条市で一つの加工に特化した単工程事業者と、県内外のクリエイターが協力するカワコッチも出店。BtoBやOEMが中心だった会社・工場が集まって高い技術を発揮し、クリエイターから生まれるアイデアを実現する独創的な製品が特徴だ。
来年で大河津分水は100周年を迎え、地元の旧・分水町(現・燕市)でも機運が高まっている。分水企業の若手有志などで構成される分水ブランディングプロジェクトでは、「本来無形である観光資源をカタチある有形観光資源へブランディングする」として活動。
メッセでは、近年発売した揺れる酒器「しゅってんころりん」を展示。分水に伝説が残る酒呑童子にもかけた商品であるが、こちらにも部品製造などを担ってきた地元企業の技術が反映されている。今後はビール用のバリエーションも企画中であるという。
(文・鈴木琢真)