新潟県内企業の防災製品でまさかに備える
まもなく9月が終わるが、9月という月は防災に縁の深い月である。9月1日は、関東大震災が発生した日ということで防災の日に認定されている。また、全国各地では9月を防災月間と定めて、意識啓発や備えの重要性を伝えているところもある。
だが災害は忘れた頃にやってくる。そんななか、新潟県に本社を置く企業でも、災害発生時に少しでもホッとできるようにと、さまざまな防災製品を販売している。県内製のグッズを買って、まさかに備えてみてはいかがだろうか。
在日外国人にも安心な米飯 エコ・ライス新潟
有限会社エコ・ライス新潟(長岡市)の「みんなのごはん」(税抜き380円)は水を加えるだけで食べられる米飯で、県産米100%。説明書には、日本語、英語、ポルトガル語、韓国語、中国語、アラビア語の6か国語で作り方を紹介。パッケージのQRコードを読み取れば、作り方の動画が各国語で見ることができる。
「日本語が読めない住人にも、災害時に安心して食事を提供できる製品を作ってほしい」という自治体からの依頼で開発したこの製品。多くの企業や自治体から、問い合わせが相次いでいるという。同社のホームページでの通販などで購入できる。
防災情報を確認できるQRコードを掲載した天然水 ブルボン
柏崎市の大手菓子メーカーである株式会社ブルボンは7月、柏崎市と連携して防災備蓄用の「柏崎市防災天然水」を発売した。この天然水のラベルには、正面に柏崎市のPRキャラクターである「えちゴン」が大きく書かれている。その横には、スマートフォンなどで読み取れば市の防災情報ホームページにつながるQRコードも載せた。
ラベルには「備蓄した水を、災害時以外にも飲み、飲んだ分だけ補充して災害発生時に備えようという考え方」を図式化したものも書かれている。これは「ローリングストック」という考え方で、賞味期限が過ぎて食品を廃棄しないよう日常的に消費していくものだ。食品ロスにつながらない考え方として注目されている。
ブルボンは2007年の中越沖地震で、柏崎市にある工場などが被災したときも、備蓄した天然水や菓子を被災者に供給した。関東大震災で関東からの菓子供給が止まった時に、地場から供給しようと生まれた企業だけに防災への意識は高い。
消費税抜き価格は1本100円。主に県内で販売し、賞味期限は25カ月。今後は全国の自治体などにも訴求していく考えだ。
復旧にあたる人にも温かい食事を ホリカフーズ
自然災害発生時には復旧をするために、多くの人が被災地入りする。そんな人にも温かい食事を提供するのがホリカフーズ株式会社(魚沼市)の防災食「レスキューフーズ 一食ボックス」だ。水と火を使わず、発熱剤の化学反応により、30分で加温できる。メニューもカレーライスや中華丼など5種類を用意している。
2003年に初代を発売。翌04年、長岡市を震源とする最大震度7の新潟県中越地震が発生して、従業員が食べた際、「もっとメニューが欲しい」とのニーズが出て、10年には現在の一食ボックスになった。東日本大震災や北海道胆振東部地震などの現場でも活躍した。
各食材をアルミとフィルムを重ね合わせた包材で包むなどして3年以上保存できる。缶詰のみそ汁や筑前煮などもあり、缶詰をおかずに一食ボックスを食べることもできる。
野菜を多く使ったり、さっぱり味にして水をあまり飲まなくて済むようにしたりと、食べる人を気遣った商品設計もうれしい。現在は年数千件の注文が来るという。