株式会社エム・エー・シー(新潟県上越市)が遺伝子組み換えの養蚕ビジネスに参入

株式会社エム・エー・シーの山口康秀代表取締役社長

半導体関連企業の株式会社エム・エー・シー(新潟県上越市)は、新規事業として遺伝子組み換えの養蚕ビジネスに参入する。

農林水産省が関わり、東京大学、京都大学などの研究機関や、国内企業など約50社が参加する遺伝子組み換えの養蚕事業に関するコンソーシアムへエム・エー・シーも参画しており、同社は新潟県妙高市内で蚕の飼育を担当している。

将来予測される世界的な食糧不足を背景に、新たなタンパク源として昆虫食が昨今注目を集めているが、同社は蚕の食用への応用も検討。実際、東京では「シルクバーガー」として、蚕をミンチにして牛肉に混ぜたハンバーガーも販売されており、実用化もされ始めている。

食肉用の牛や豚を飼育するコストや、そのための飼料を育てる水の量を蚕のそれと比較すると、断然蚕の方が少なくて済む。同社の山口康秀代表取締役社長は「餌のトータルの水の量が少なく、蚕はサスティナブルなものだ」とも話す。

株式会社エム・エー・シー

遺伝子組み換えされた蚕。赤く光る眼が特徴だという

また、蚕が出す生糸はタンパク質であることから、医薬品開発への応用も研究している段階だ。医薬品開発は膨大な時間などがかかるため、すぐに実現化するわけではないが、長期的なスパンで取り組んでいく方針だ。

山口社長は「ゲノム解析などが進み、遺伝子組み換えも以前よりも安価で平易にできるようになった。コロナワクチンもその一環と言えるだろう」と話している。

同社は1984年設立で、半導体工場向けの資材を販売しているほか、半導体製造機器の修理・メンテナンスなども手がけており、新潟県内や北陸地方のほか、東京、大阪、九州にも営業所があり、海外ではミャンマー、台湾にそれぞれ拠点がある。

現在は北陸エリアが主な地盤だが、今後は九州エリアの拡大のほか、海外展開では今後半導体企業の進出が見込まれるアメリカへの進出も将来的に検討している。

エム・エー・シーで飼育されている蚕

 

(文・梅川康輝)

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