ケルト文化の技法を取り入れたニットなどを展示・販売する作品展「旅する羊 Migratory Sheep」が新潟市中央区で開催中
新潟市を拠点に活動するニット作家・小島珠樹氏が23日より、ノ縞屋(新潟市中央区)で、ケルト文化の技法を取り入れたニットなどを展示する同氏初の個展「旅する羊 Migratory Sheep ニット作品展&受注会」を開催している。期間は、11月1日まで。
小島氏は現在、新潟市在住。幼少のころに聴いたバグパイブの音色からケルト文化に興味を持ち、編み物も趣味であったことから、アイルランドの「アラン編み」、シェットランド諸島(スコットランド)の「フェアアイル」の模様編みを始めたという。
その後、一時ニュージーランドに移住し、帰国後にニット作家として活動を開始。2019年に自身のブランド「Mactire(マクチーレ)」を立ち上げる。本場から取り寄せた羊毛を使用し、総手編みで作るセーターや手袋を、SNSなどを通じて販売してきた。
小島氏はこれまでにも年に数度、グループ展などで作品を発表してきたが、個展は初めてとなる。今回は、会場となっている中央区上大川前通りの古民家を改装した店舗・ノ縞屋の雰囲気も相まって、ケルトの文化の豊かさと暖かみを感じられる小空間が構築されている。
会場では展示作品の購入のほか、その場で小島氏と毛糸の色や細かな模様の相談をして自分だけの一着を注文することも可能。また、「Mactire」ではシーズンオフのメンテナンスなど、アフターサービスにも対応するという。
「現代、ファストファッション(短いサイクルで流行りのデザインを大量生産・消費するファッションの業態のこと)のように『服は1シーズン着れば終わり』ということも多いが、ぜひ、本物の羊毛で作った本格的な1着を長く着ていただければと思っている」と話す小島氏の理念を反映した形だ。
近年、ESGなどの面から大量生産・消費からの転換を迫られる企業は多い。一方で、「自分だけの1着」を求める消費者側の需要も高まっている。流行に左右されにくい、伝統的な意匠の持つ普遍的な美しさが、今後さらに注目されていくかもしれない。
【グーグルマップ ノ縞屋】
(文・鈴木琢真)