新潟県庁の若手職員が、職員採用の増加や県有不動産の利活用などについて花角英世知事へ提案
新潟県は25日、庁内の若手職員が考案した政策内容を、花角英世知事や各部局長へ伝える報告会を開催し、今回は5つのグループが県庁職員の受験者増加方策など様々な分野に関する提案した。
この取り組みは、概ね45歳以下の有志グループが、県の直面する課題について自主的に調査・検討するもので、今年で3回目の開催。これまでは各グループで課題を自由に設定していたが、今回は各部からの公募で出た課題について検討するグループの姿も見られた。
今回は、「職員採用試験における受験者増加方策」「在留外国人と連携した新潟県の魅力発信」「地方鉄道の利用促進による地域活性化と魅力発信」「公民連携による県有不動産の利活用とソーシャルイノベーション」「ダイバーシティの促進」について、5つのグループが発表。
最初のグループは、県庁職員の採用試験受験者数が年々減少し、特に専門的な職種で低倍率が深刻化している課題を提示。同グループが行った学生へのアンケートからは、「面白くなさそう・やりがいがない」や「専門試験がネック」といった理由から公務員を避ける傾向が見られるとして、SNSのnoteを活用した、特に働いている人へ焦点を当てた情報の発信強化や、一般行政のアピール枠・技術系のユーティリティ採用といった制度改革を、他県の先行事例も交えながら提案した。
花角知事は発表を見て「私も含めて、『県庁の職員になる』というのは憧れがあると思っていて、何もしなくても優秀な人材が来ると思い込んでいた。ぜひ提案の内容を担当部局とともに考えていきたい。すぐにでも事業化できるのではないか、と思えるほど完成度の高い内容だった」とコメントする。
また、今年で3回目の発表となるグループ「新潟県公民連携推進プロジェクト」は、昨年度から引き続き県有不動産の利活用について発表。今年は「県庁の森」を公園として利用する案を提案した。
現在は散歩需要のみである「県庁の森」へ、まずはベンチを設置することで、日常的な需要の喚起を計るという。発表者の地域政策課の桝潟晃広主任は「『なんだベンチか』と思う人も多いかもしれないが、ベンチを置くことで、通過する場所から人が佇む場所に変化できる。滞在時間が伸びることで、飲み物などの需要が生まれ、コミニュケーションも生まれる」と話し、ふるさと納税によりベンチを整備した東京都や、地域コミュニティ醸成のためにベンチを設置したニューヨークの事例を説明。また、これを実現するための制度的な課題の改善にも言及した。
同グループではこれまでに県庁前ナイトマルシェ(2019年実施)や県庁でのキッチンカー出店(2020年以降)などの社会実験を実現しており、今回はそこから一歩進んだ、土地の暫定利用に踏み込んだ形となった。前述のように同報告会から実現した事業も多く、今後の進展に期待がかかる。
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(文・鈴木琢真)