新潟県の燕三条で「工場(こうば)の祭典」が開幕。6日まで
「“こうば”を見て燕三条のファンになってもらいたい」
日本を代表するものづくりエリア、燕三条(新潟県燕市と三条市など)の工場などが一般来場者向けに開放される「燕三条 工場(こうば)の祭典」が3日に始まった。113の企業や団体が自らの仕事場を公開し、ものづくりに親しみを持ってもらおうと多彩なおもてなしを展開する。会期は6日まで。
工場の祭典は今回で7回目。出展者数113は過去最多だ。製造業などの「工場」が90、農園など「耕場」が11、鍋や調理器具などを買える「購場」が12を数える。祭典は回を追うごとに来場者数も増え、2018年は5万3345人(前年比51人増)。初回の1万708人と比べて、およそ5倍に膨れ上がっている。
だが、今回はむやみに来場者の数を追わず、「コアなファンを作りたい」と燕三条工場の祭典実行委員会の斎藤和也委員長(三条市のプレス加工メーカー、有限会社ストカ次長)は話す。前回まで無料配布していた冊子タイプのガイドブックを廃止し、今年から税込2000円のオフィシャルブックを発売したのにも、その想いが現れている。「ブックを購入する人=本当に工場の祭典が好きな人」というわけだ。
斎藤委員長が勤めるストカでは、3日の開会式が開かれた後、斎藤委員長自らが式の出席者向けに工場を案内。出席者以外の一般の人も来場した。東京から来た女性は「今回初めて祭典を見に来た。なかなか知ることができなかったものづくりの世界を見られて、また奥の深さも感じられた。好きになりそうだ」と早くも“コアなファン”ができつつある。
「コア」といえば、1枚の金属板から丼のような形状を生み出す「へら絞り」の技術も、目立たないながら大事なものだ。この技術を得意とする「ミノル製作所」(燕市)は今回初出展。高齢化が進む地域のへら絞り業界に、若い風を吹かすべく、20ー30代の職人が祭典中も技術の実演に勤しむ。
ファンが多いといえば、県産米。ミノル製作所と同じく初出展である「JAにいがた南蒲 農産物直売所 ただいまーと」は5-6日に、屋外に特設会場を設置。地元の若手農家とともに、県産米3種類の食べ比べを実施して米の情報発信を図る。オリジナル米「伝」を生産する「かやもり農園」(加茂市)は敷地内の古民家で5-6日に、おむすび定食の提供や餅つき大会を実施する。
燕三条地区の製造品出荷額は、祭典実施以降は総じて上昇傾向にあり祭典が地域活性化の一つのきっかけになっている。「この祭典をきっかけにこうばの付加価値を知り、ファンが増えればうれしい」と斎藤委員長は話す。