新潟県長岡市の吉乃川が「酒ミュージアム醸蔵」を5日にオープン
新潟県内最古の酒蔵、吉乃川株式会社(長岡市)は、自社の敷地内にあった築96年の蔵を改装した「酒ミュージアム 醸蔵(じょうぐら)」を5日にオープンした。同社の本社がある長岡市摂田屋地区は、酒蔵、みそ蔵、しょうゆ蔵が6つ集まる「発酵の町」として知られており、醸蔵のオープンでさらなる観光振興が期待される。
醸蔵は、大正12年に建設され、瓶詰め工場や倉庫として用いられてきた「常倉(じょうぐら)」を改装して作った。同社の酒造りや摂田屋地区に関する情報を伝えるパネルや、歴代のラベルコレクションなど吉乃川や町の歴史を感じられるコーナーに加え、直売所や試飲コーナーも完備。
試飲コーナーでは、醸蔵でしか飲めない酒も用意している。現在は、純米大吟醸無濾過生原酒と、純米無濾過生原酒が楽しめる。遊びながら酒造りを学べるゲームコーナーも用意した。蔵の奥にはクラフトビールの生産設備も完備。来月には仕込みが始まり、来春の発売を目指す。
醸蔵を作った理由について、峰政祐己社長は「醸したお酒を来場者の方に楽しんでもらうだけでなく、ファンの方と当社がつながって、新たな関係をこの蔵から醸していきたいと思いを込めた」と話す。
これまで同社を訪れるには事前予約が必要だったが、醸蔵は定休日の火曜(火曜が祝日の場合は翌日)以外は、常に開放されている。同様の施設は摂田屋地区でも初めてだ。長岡市は同地区にある機那サフラン酒本舗の土蔵群を取得し、地域の観光振興に乗り出している。醸蔵でも、今後さまざまなイベント実施を模索しており、摂田屋地区の観光資源としてさらなる注目が集まる。
醸蔵がオープンした5日、摂田屋地区では6蔵が会場の「おっここ摂田屋市」を開催。機那サフラン酒本舗会場ではコンサートが開かれるなど、多くの人でにぎわった。