デンカ株式会社(東京都)が製造したがん治療用ウイルスを第一三共株式会社(東京都)が国内販売を開始
デンカ株式会社(東京都)が東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授とともに、商用製造工程の開発を進めてきたがん治療用ウイルスG47Δ(デルタ)製剤「製品名デリタクト®」について、1日、第一三共株式会社(東京都)が国内販売を開始した。
G47Δは、単純ヘルペスウイルス1型(口唇ヘルペスのウイルス)に人工的に3つのウイルス遺伝子を改変したがん治療用ヘルペスウイルスのことで、デンカは第一三共から委託を受けて同製品を製造し、今年10月に出荷を開始した。2021年度のデンカの連結業績への影響は精査中という。
同製品は、がん治療用ウイルスG47Δ製剤であり、悪性神経膠腫(こうしゅ)を対象として世界で初めて承認されたがん治療用ウイルス製剤。悪性神経膠腫とは悪性の脳腫瘍の1つで、国内における罹患数は年間約2,800人程度と推定されている。
同製品は、生きたウイルスそのものを製剤化したものであるため、その製造には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術の確立が必要であり、長年に渡りウイルス感染症ワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造を行ってきたデンカの技術やノウハウが十分に活かされているという。
デンカは同製品の商用製剤供給を通じて、いまだに有効な治療法がない医療ニーズが高い悪性神経膠腫における新たな治療の選択肢を提供することで、医療の発展に貢献できるものと考えているとしている。
今後、国内医療機関からのニーズに確実に応えて安定供給を実現するとともに、同製品の製造工程開発で得た技術やノウハウを活かして、ウイルス製剤などの医薬品製造開発受託企業としての存在意義の確立に向けた取り組みを推進する方針だ。